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【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
3.喜多村本家に居候

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88.お散歩しよう*


 本館へ戻ってくサキちゃんを見送る。さて、これからどうしよう?


「みんな~もう起きないと」


 取りあえず午睡(ごすい)真っ盛りの幼女たちを起こす。


「う~ん、まだ眠い……」

「もうちょっと……」

「眠いよ~」


歩鳥(ほとり)さん、斎木(さいき)さん、もう起きてるでしょ? ベッドから降りてよ」


 タンポポちゃんたちにワンピースを着せながら護衛の二人を起こす。


「ばれてましたか……」

「もうしばらく、この感触を~」


 まったく、斎木さんは危機感ないね~?


「もう、斎木さんは用済み。チェンジ、だね?」

「そ、それだけはご勘弁(かんべん)ください」


 ベッドに頬ずりする大きい子をちょっと(おど)したら飛び起きた。


 ボクは解任するつもりもないし、そんな権限もないけどね?


「それで、何して遊ぶの?」


 タンポポちゃんたちに訊いてみる。


「ん~、考えてない」

「ん~?」

「そんなの何でもいい」


 あ~左様(さよう)ですか……。


「それじゃ、部屋に戻って勉強のお復習(さらい)とか、しない?」

「え~~っ?」

「もう朝、やったよ~」

「ん~? やった」


「朝はうるさくしたし、お復習は大事だよ?」

「そんなの明日もやるんだし構わないわよ」

「そうそう」

「ん~? そう」


 ん~、タンポポちゃんの意見に引きずられてるっぽいな~。おいおい慣らしていくか~。


 って、ボク、住み込む気分でいる……。


「仕方ない。ボク、屋敷の周り知らないから案内して?」

「それなら良いわよ」

「案内する」

「する……」


 タンポポたちに用意した衣服を持って部屋を出る。使用人の館を()て本館二階・タンポポたちの部屋に荷物を置く。また一階に降りて遊歩道へ出る。


 護衛や警護のみんなは置いてきた。新任の(ささ)さん、打木(うちき)さんが付いてくるって言うと気更来さん、羽衣さんまでが対抗意識を燃やして付いてくるって言う。


 すると、護衛の歩鳥(ほとり)さん、斎木(さいき)さんまで来るって言い出して、きりがないので全員(こば)んだ。


 壁内(へきない)にいるうちは安全でしょう。



「ね~? キレイでしょ~」

「そうだね」

「これ」

「キレイに咲いてるね。チューリップ」

「見て見て」

「ツツジも咲き始めたね」


 皆と歩いてみると、とんでもなく広い。遊歩道から庭園に歩いていく。これ手入れが大変だわ。


 辺縁(へんえん)に杉が並ぶところがあり、バラのアーチを抜けると藤棚(ふじだな)四阿(あずまや)なんかまで(しつら)えられている。


「これ、ちょっと飲み物でも持ってくれば良かった」

「そ、そうね。今度は持って来ましょ?」

「うん、持って来る」

「軽食もいるわね」


 水仙に囲まれた四阿(あずまや)によって休憩する。


「まだまだ奥にもありそうだね?」

「この奥には何もない」

「そう農場しかない」

「ない……」


「え~、農場まであるの?」

「そうよ」

「そうなの。でも、つまんない」

「ウシがいる。こわい……」


 もしかしたら、壁の中でコミュニティができてる? 壁内ではある程度、自給自足してるのか。そうしてないと生活できない気がする。


「また今度、農場に行ってみたいな」

「え~っ、見るところないよ?」



「これ、そなた、何をしておる」


 休んでいるところに護衛二人、戸隠(とがくし)さん、角師(かくし)さんを引き連れミヤビ様が足早にやってくる。


 四阿(あずまや)の前まで来られると、ガサガサ後ろから音がする。振り返ったら笹さんと打木さんがいた。


 二人とも黒服が草まみれだし落ち葉の欠片(かけら)やら付けてるし。どこにいたんだよ。


 てか、あとを付けて来てたの? いつの間に? こわいよ、特殊部隊。


 みる間に四阿(あずまや)腰壁(こしかべ)を跳び越えてボクたちの前に立ち、ミヤビ様たちと対峙(たいじ)した。


 ミヤビ様の護衛も前に進んでミヤビ様の盾になる。まさかの事態に息を()む。びっくりするよ。


「あの、ミヤビ様。どうかされましたか?」

「どうもこうもない。なぜ母家(おもや)()ぬ?」


 護衛の挙動(きょどう)(どう)じもせずミヤビ様が問う。あ~、そんな話もあったね?


「そのお話は先ほど聞いたばかりでして、その、このような重大な用件は、マキナと相談いたしまして、ご返答いたしませんと、ですね?」

「何を()うておる。マキナとわらわは愛友(マブだち)じゃと言うておろう。わらわの言うことはマキナも反対せぬ」


 あれ? これってもしかして……かな~り一方的じゃね?


「キョ~ウ?」

「ん……」

「う~」

「何、みんなどうしたの?」


「「「…………」」」


 皆から返事がない。居心地悪い、とか?


「ミヤビ様、一度マキナと話しておきますので、また(のち)ほど──」

「何を悠長(ゆうちょう)な。今! すぐ! 訊いてみよ」


 ん~困ったね。


「まだ、勤務中と思われますので、もう少しお待ちいただければと考えます」

「分かった──」


 分かってくれた……ホッ。


「──わらわが、直接話す」


 え~~っ! 全然分かってなかったヨ!


 お付きの黒服・角師(かくし)さんから手荒に携帯を奪うと操作し始める。


「お待ちください! 分かりました。わたくしから連絡いたします」

「ならば()(もう)せ」

「はぁ~~」


 ボクは思いっきりため息をついた……。


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