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【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
3.喜多村本家に居候

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73.嵐のような奥方たち*


「サキ様、護衛も()も用意されたのでしょう?」

「少々のことでは、びくともしませんよ」

「外の食事も食べてみたいわ」

「……キョウよ、そなたも何か言え」

「えっ?!」


 ちょっと待って。どうしてボクに振るのさ。サキちゃんは、お義父(とう)様たちに圧倒されてボクに助勢を求める。


「──皆さん、外は危険ですよ。女ばっかりですよ。計画通りにすれば、問題なく遊べるんですから、もう少し慎重(しんちょう)に」

「まったく、女なんてどうとでもなるわよ」

「──えっ?」


 なんか、ちょっと話のベクトルが合わない。(あや)ぶむなら女性のことだと思ってたのに。


「それよりも怖いのは()よ」

「そうそう、もう外出を()ぎ付けてるかも知れないわ」

「最高の対抗手段は、無計画。予想外の行動で引っかき回すの」

「──こんなこと、言われてますよ? サキちゃん」


 諦念(ていねん)を込めてサキちゃんに返す。ボクには無理~。


「「「プッ」」」


 皆さんに(そろ)って吹かれた。何かおかしなこと、あった?


「そなた……。(たよ)りにならんヤツじゃ」


 いま会ったばかりの、親以上の方たちに何が言えるって言うのさ。


「ね~ね~、さっと行って、さっと帰ってくれば大丈夫よ?」

「「うんうん」」

「もう知らん。そなたらで段取りせよ」


 あ~、サキちゃん、投げ出してしまった。それを聞いた義曽祖父・ユキ様がにんまり微笑む。


言質(げんち)取ったわ。ショウちゃん、レンカちゃんに連絡、予定の前倒しを通達。ヒロちゃん、護衛・車両の準備を急がせて。私は、厨房と使用人たちに食事の変更を通達するわ」

「はい」

「分かりました」

「そなたら……(はか)った、のか?」

「サキちゃん、ど~するのさ?」

「「「プッ」」」


 あれ? また、なんかまた吹かれた。


 ──せっかく夜延(よな)べして準備したのに……朝令(ちょうれい)暮改(ぼかい)だね。ま、夜に決まったことが朝、(くつがえ)ったから〝暮令(ぼれい)朝改(ちょうかい)〟か?


「そなたが()うか。ゆくゆくは、こやつらを(あつか)えるようになるようにな? 決して染まってはならんぞ」


 奥方たちを憮然(ぶぜん)と見てボクに振り返る。対して、お義父様たちは、携帯端末で連絡し始めている。


「染まりはしないと思いますが、とても対抗できるとは思えませんが」

「いずれ、当主の妻となり内助とならねばならんと言うのに情けない」

「知りませんよ。一般人が男家(とつ)いだら大変な家だったんですから」

「まず、そなたを(きた)えねばならんようじゃな」


 ボクのどこを鍛えるって言うのさ。そもそも、鍛えられるの?


「大丈夫よ。私たちが鍛えるから」


 義曽祖父ユキ様が言うと携帯片手の義祖父ショウ様、義父ヒロ様がうなずく。


 それを受けてサキちゃんが、微妙な表情になった。ボク、ちょっと何されるか不安なんですけど。


「──あ~、あなたは気にしなくていいから……。だから、私たちが、勝手に行くだけだから……。そうそう──」

「──は? 早く準備なさい。そう……なんと情けない。そもそもね~、一朝一事(いちじ)あれば即応できなくて何が護衛か? その意味を──」


 お義父様たちに対応されてる皆さんの苦渋(くじゅう)の表情が見えるようだ。


 統率(とうそつ)者のユキ様は、部屋を出ていかれた。屋敷の使用人に話をつけに行ったのか?


 敵に回したくない人たち相手にボク、何ができるって言うんだ。


「片付けてしまいそうじゃの~。わしの苦労は、いったい……」

「…………」


 かける言葉がない。三人で根回しされたらね。


 まあ、発想自体、思いつきみたいだったんだからひっくり返されても、どうってことないでしょうけど。


「あやつらにも、説明せんとならんな」


 視線の先には、幼女たちと先生役のクロユリさんが、ちらちら、こちらを見てる。


 情勢は(かたむ)き、お昼より早いお出かけが決まったのを知って、そわそわしてるっぽい。


 そんな(あらし)の中、サキちゃんから着信音が聴こえる。


「うむ、わしじゃ……。うむ、分かっておる……。ふむ……ふむ……。なぜ、わしが取りなせばならん。そもそも、あやつらが段取ると言うたのじゃから──」


 う~む、レンカさん方面の苦情かな? 合掌(がっしょう)


「──わしは知らん。そなたの思うようにせよ。……そうじゃ……うむ。……じゃから、話した通り対応すれば良かろう。……うむ、すまん、キャッチが入った、切るぞ──」


 なんか各方面から陳情(ちんじょう)されてるような。


「──わしじゃ……追い返せ。……うむ……ミヤビ? そう申したのか? あ~、分かった、通すが良い。はあぁ~」


 電話を切ったあと、サキちゃんが大きくため息をついた。


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