表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
3.喜多村本家に居候

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/194

59.部屋に泊まるらしい*


 ボクも肌着を着けるとローブを借りて着る。


 護衛の歩鳥(ほとり)さん、斎木(さいき)さん、喜多村家警護の気更来(きさらぎ)さん、羽衣(はごろも)さんもお風呂から上がり着つけている。


 さて、脱衣カゴに残る汚れものをどうするか?


 借りたローブの近くにボックスがあり、そこには汚れものが()れられている。


 濡れたタオルや下着類だ。


 タンポポちゃんたちは、躊躇(ためら)わず回収ボックスに放り込んでいる。


 そこで回収し洗濯して持ち主に返すんだと思う。


 ボクもボックスに放り込もうとして、躊躇(ためら)った。


「このまま()れちゃって大丈夫かな」


 タンポポちゃんたちは良い。おそらく持ち主は把握(はあく)されていて戻ってくると思う。


 汚れものを見るに、名前が書かれたものが見える。


 それに対してボクはどうだ。今日来たばかりだし、名前も書いていないのに、果たしてボクに返ってくるかな?


 護衛の皆に聞こうかと視線を移すと、着る手が止まっている。


 こちらを見ている先は、ボクの手元かな?


 みんなの目を観て……羽衣さん、斎木さんは目が泳ぐ。


 歩鳥さん、気更来さんはそっぽ向く。


「ここはダメだな」


 部屋に持ち返りランドリーで洗うか、専門のメイドさんにお願いする方がいい。


 汚れものを(ふところ)にしまうと、がっかりする羽衣さんと斎木さん二人。


「さあ、部屋に戻ろうか?」

「「「は~い」」」


 皆と手をつないで本館の方へ行こうとすると「そっちじゃない」とタンポポちゃんに止められる。


「皆の部屋へ戻らないと──」

「違う。キョウの部屋で『鉄の誓い』を立てるのよ」


 誓い?……ああ、お風呂のあれね。そんなのどこでもいいじゃん。


 自分たちの部屋で勝手にやってよ、とも言えない。


「サキちゃん、この子たちを部屋に連れて行って問題ある?」

「まあ、警護どもに連絡させれば良いじゃろ?」


 不似合いなローブに身を包んだサキちゃんが近くにきたので()いてみると、そう答えてくれる。


 手には濡れたワンピースを持っている。まだ、お風呂入って無いよね? 入ってきなよ。


 追っ付け護衛と警護も服を着てよって来ている。


「そなたら、この子らがキョウの部屋へ行くようじゃ。本館に知らせて()よ。よいな?」

「は、お任せください」


 警護の気更来(きさらぎ)さん、羽衣さんが(ひざまづ)いて答えると、その足で脱衣場を出ていった。



「ちょっと~、サキちゃんってなにもの?」

「ここのエラい人、と思ってよい」


 そう言い、薄い胸を張るサキちゃん。


「そうなんだ。じゃ、部屋に戻るよ~」

「そなた、わしの扱いが軽くないか?」

「ボクは知らないから、その辺の事情」


 皆を連れて自分に充てられた部屋に戻る。


「タンポポちゃんたちはその『誓い』が終わったら自分の部屋に戻るよね?」

「戻るわけないじゃない」

「戻らない」

「……ない」


 やっぱりか。ボクの部屋で寝る気、満々だね。


「じゃあ、朝の朝食とか、こちらで食べるって(しら)せないとね?」


 きっと、幼女たちも本館に戻らず、こちらで食べるって言うに違いない。


 朝食をボクの部屋で一緒に取れるようにしとかないと。


「こちらのメイド長や警備担当にでも報せておけば良い」とサキちゃんに助言される。


「それじゃ、護衛の二人、分かる?」


 その連絡を歩鳥(ほとり)さんと斎木さんに振ってみる。


「はあ、まあなんとか分かりますが……」


「じゃあ、歩鳥さん、斎木さん、連絡お願い。朝食はボクの部屋で子供たちと食べる。ボクも子供向けのワンプレート形式で良いので」


「あの~」と、後ろから声がかかる。


 振り返って見ると、付いて来ている給仕のメイドさんが手を上げている。


「わたくしが、連絡して参ります」

「そうですか? では、お願いします」

「待て。わしもキョウのところで休む。朝食も一緒じゃ。伝えて()よ」

(かしこ)まりました」と言って給仕の人は(きびす)を返す。


「あの~、私たちは小間使いではないんですが……」

「そうです。私たちはキョウ様の(そば)にいないと……」


 護衛の二人が異を唱える。


「ここで護衛がいる? 仕事なくてゴロゴロしてたくせに……」

「む……一理あります、ね」


 一理もくそもあるか。そう言うのをムダ飯食らいって言うんだよ。


「ボクがちゃんと仕事を割り振ってるんだよ。暇でしょうに。感謝してよね?」

「感謝……ですか?」

「……やはり、喜多村家に染まってらっしゃる」


「何か言った?」

「いえ、何も……」

「言うこと聞いてれば良いことがある……かも知れない、んだよね?」


 二人は顔を見合せ、色めき立つ。


「風呂場以上のことをしていただける、と?」


 ボクは、にっこり微笑んだ。


 あれは、したんじゃなく、ボクがされたんだけどね!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ