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【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
3.喜多村本家に居候

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46.喜多村本家へ*


「皆、大丈夫?」と護衛の皆に声をかける。


「大丈夫、です」


「同じく」


 護衛の歩鳥(ほとり)ミドウさん、斎木(さいき)チドリさんは問題なし、と。


「問題ありません」


「問題、ありまくり……」


 気更来(きさらぎ)サラサさんは良いとして一人、不満をもらす羽衣(はごろも)ウイさん。


「折角いただいたキャミソールがあ~……」


 もの悲しくショーツを(なが)めては、それに(ほお)ずりする。


 できれば返して欲しい。てか焼却(しょうきゃく)したい。


「ねえ、新しく買ったものと交換しない?」


「えっと……()ぎたてにしてくれるなら」


「…………」


 交渉(こうしょう)の余地は無し。言葉が()げなくなった。


 使用()みでも(あら)ったあとなら渡してもいい。そんなのは求めていないんだろうな。


 両脇の歩鳥さんと斎木さんは期待の(こも)った表情でボクを(のぞ)き込んでくる。


「なんです?」


 って言うか、歩鳥さんと斎木さんは関係ない、よね?


 そう言うとがっかりされた。なんで?


「お相手していただけないなら、せめて肌の温もりを感じられるものが欲しいです」


 相手……ってボクって護衛の人からも(ねら)われてるの?


「ちょっと……主人(マキナ)()いてくださいな」


「分かりました……」


 結果は分かってますけど、と意味深な返答がある。


 どう言うことか訊くと、働きに応じて褒美(ほうび)として下賜(かし)──下げ渡しするんだとか……。


 主人と部下がゴニョゴニョになって(きずな)が深まり、忠誠心が高まるとか?


 部下は、それを期待半分で(つか)えるのもあり、男性警護士などはその最たる職業なのだとか……。


 聴いてない。……マキナもきっと許可しない、と思いたい。でも香具羅(かぐら)メイの例もある。


 そちらはまだ三年も猶予(ゆうよ)があるけど……う~ん? 考えるのは(たな)上げしよう。



「なんか、忘れてる気がするんだよな~」


 ローファーを()いで足袋(たび)()き取り出した履物(はきもの)()く。


 めくれた(すそ)を見る人には指さして彼方(かなた)に向ける。


 車に()られて山の(ふもと)に着く。巨大な(へい)と入口のゲートが現れる。


 通過儀式(ぎしき)()ませるとゲートが()き、車が入っていく。


 なんてものものしいんだ、喜多村本家。


要塞(ようさい)かよ?」


 二メートル以上、塀の上には忍び返しが付いている。門の両脇には監視カメラがこちらを向いている。


「まあ有り(てい)に言って、そうですね」


 事も無げに気更来さんが言ってのける。


「本家ってどんな生活してんだろう?」


 まあ訊いても塀の中はパラダイスだろうね?


「所々に石碑(せきひ)みたいのがあるね?」


「ああ、それは──」


 ドローンを()ち落とす石塔(せきとう)だとか教えてくれる。どんだけ防犯対策されてるんだ。



 なだらかな坂を登り屋敷(やしき)の前に着く。


 屋敷の前に花壇が(かだん)(もう)けられ噴水(ふんすい)もある。


 くすんだ石(づく)りの洋館で時代を感じる。


 車()せに()めると皆、安堵(あんど)の表情をもらした。


「ボクの姿、おかしくない?」


「もうばっちりです」


 車を降りて護衛の二人に訊くとべた()めしてくれる。


「奥様にふさわしいお姿です」


「そ、そう?」


 喜多村家警護士の気更来さんも褒めてくれる。


清楚(せいそ)なお坊ちゃんです」


 羽衣さんのは褒め言葉か?……いい加減ショーツは仕舞って、お願い。


 姿勢を正して玄関に向かう。荷物は護衛の二人に持ってもらう。


 ドアマンみたいな人が扉を開けてくれる。


 玄関フロアも広い。壁際(かべぎわ)裸像(らぞう)が並んでいる……。


 若くて胸が(うす)いから──男子か。


 (おく)から執事(しつじ)みたいな人が来るのに合わせて子供たちがパタパタとやって来る。


「おばさん、だれ?」


「ええっと……」


 その問いにボクは返答に困る。言ってもいいのか回りの護衛に視線を向ける。


「マキナ様の奥様です」


 気更来(きさらぎ)さんが答えてくれた。言っても良かったんだ。


「マキナおばちゃんの奥……じゃオトコ?」


「おじちゃん、遊ぼう」


「一緒にお風呂に入ろう」


「おじちゃんはやめて? せめて、お兄ちゃんで」


 子供たちに引っ張られて連れて行かれる。


 屋敷の子たちは話題に()えていて、変化があると駆け付けてくるらしい。


「皆さん、キョウ様はお疲れですので、遊ぶのはあとにしてくださいませ」


「「「は~ぃ」」」


 少し力なく返事をした子供たちは引き下がった。


蒼屋(あおや)キョウ様、ですね? お疲れでしょう。部屋へご案内いたします」


 執事然とした女性はボクを知っているらしい。


「ありがとうございます」


 荷物は護衛たちから侍女たちに渡り運んでもらう。


 喜多村の気更来さん、羽衣さんとはそこで別れる。ありがとうございました。



 執事か家令っぽい女性に(みちび)かれて屋敷の中を進む。


「護衛の皆さんはこちらに」


 歩鳥さんと斎木さんは、しばらく(はな)ればなれにと思ったら、彼女たちの向かいがボクに()てられた部屋だった。


「ありがとう」


 案内してくれた執事さんに礼を言って、部屋に入る。その大きさに驚いた。


 マキナとの新居の部屋より大きいかも。


 侍女さんたちは荷物を置くと下がっていく。ありがとうと見送る。


「疲れた~」


 履物を脱いで大きなベッドに倒れ込む。


 こいつもエンプレス・サイズだ。いろいろあり過ぎて疲れた。


 うつらうつらし始めたころ、ノックがする。


「蒼屋キョウ様、食事の用意ができました。食堂にご案内いたします」


「は~い」


 そういえば、お昼だった。携帯で時間を確認する。


「あああ~、携帯、新調してなかった~」


 それとウナギ弁当、どうするかな?


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