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【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
2.5 『古都』へ

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41.戦闘機で空の旅*


『アイ、ハヴ』


 機体は突然、右ロールして視界に地表が見える。


「いやぁ~、落ちる落ちる~!」


 身体は座席から落ちる感覚で何か(つか)まろとするけど、何も無くて操縦(そうじゅう)(かん)に必死で掴まる。


『ヒャッハ~! 墜ちません。墜ちても十秒は飛んでます!』


「墜ちたら死ぬ~死ぬ死ぬ!」


『ベッドで言わせたい言葉、いただきました~』


「お前、降りたら、コロコロしてやる~!」


『ハッハッハッ。ぜひ、お(なが)いしまっす~』


『二三五、遊び過ぎだ、(うらや)(ねた)ましい』


『キョウさん。牧野──二三五は、自分がコロコロします』


『三〇三、二七八。すまない、はしゃぎ過ぎた。まさか男の尻を持てるとは思わなかったからな。司令には感謝だ』


(くじ)運が良かっただけだろ』


『おい、良い加減にしておけ。周りに丸聞こえだぞ』


『まったくだ。こちら四〇コントロール。第四〇管区の監理(コントロール)を離れる。三〇三、二三五、二七八、第五〇管区の指示に従え』


『おっと。ラジャ、五〇の監理に入る。サンキュー四〇コントロール』


『もう帰って来なくていい、二三五』


『こちら、第五〇管区コントロール。四〇の監理を引き継ぐ。二三五は入って来るな』


『じょ冗談(じょうだん)、キツいぜ』


『五〇コントロール、こちら三〇三。よろしく』


『こちら二七八、よろしくどうぞ』


『おの~、お話してますけど皆さん、どこに居るんですか?』


『ああ……三〇三は前下方、二七八は後ろ上方(じょうほう)縦列(じゅうれつ)で飛んでますよ』


 と言って、視界に機体の輪郭(りんかく)が現れた。さすがに後ろは見えないけど前方(なな)め下にそれが見える。


 確かにその輪郭(りんかく)の後方には排熱(はいねつ)で景色がゆがんでいる箇所(かしょ)がある。


「あの視界──画面に浮かんでた三角形は味方を認識する目印だった、と?」


 ゴーグルを着けてから前方に三角形が浮かんで見えていた。何かの目印だと思っていたけど、そう言う事だったのね。


『そうそう』


 話を聴くとIVS(不可視化機構)によって機体の背景を取り込み投影(とうえい)するフィールドを発生して半不可視化(ふかしか)させているらしい。


 互いにリンクして位置情報を交換している、らしい。それを元に仮想画像をゴーグルに投影しているとか。まあ、分からん。


 とまあ、雑談(ざつだん)ありで退屈(たいくつ)する事なく空を旅は続いた。


 問題なく五〇管区を通り抜け、第六〇管区に入ると事態(じたい)(あわ)ただしくなる。


 海峡を越えると山の向こう、山に挟まれて巨大(きょだい)(みずうみ)が見え中央に空港が浮かんでいた。


『こちら、四〇五SQ・三〇三。六〇コントロール、BWK(ビワコ)に着陸()う。腹と背中がくっつきそうだ。オーヴァ』


『こちら、六〇コントロール。三〇三、二七八、C滑走路に進入せよ、オーヴァ。二三五は拒否(きょひ)する』


『マジかよ? お客様が乗ってんだぞ?』


『くっ、仕方ない。二三五を最初に、他の機体は順次着陸を許可する。牧野は機体から降りるな』


勘弁(かんべん)してよ……』


 牧野さんの悪名(あくみょう)は第六〇管区まで(とどろ)いてしまったようだ。合掌(がっしょう)──自業自得だよ。


 ボクの乗った機体が湖に浮かぶ空港に降りると、続いて姿を現した二七八、三〇三が着陸してくる。


 本職は、スゴいね。三〇三機と二七八機は並んで降りてきたよ。滑走路も広くてそんな事ができたんだろうけど。


 着陸すると牧野さんの指示でペダルを()んで戻して細い誘導ゆうどう路を通りハンガー前の広場に着いた。


「ふう~、やっと着いた~」


『お疲れ様、(たの)しかったですよ』


「まったく、そうでしょうよ。でも……ありがとう」


 人で遊んで。でも一時間しないで古都まで来れたのは感謝だ。それを告げてボクは戦闘機を降りた。


 また、トラ(じま)のトラックに()かれてハンガーに収まる機体を見ながら、ボクは(おく)の事務所へ連れていかれる。


 こちらでは、(ひか)えめな歓迎(かんげい)を受けてロッカーへ案内される。


 ロッカー室で(ふところ)からお弁当の(かたまり)やパジャマを出しパイロットスーツを脱いでいると、護衛ふたりの脱ぐのが目に入った。


 二人は服の上からパイロットスーツを着込んでいた。


「ちょっとー。なんで服の上から着てたのさ?」


「「それが普通では?」」


 こんな時までハモらなくても。


「じゃあ、ボクが脱いだのは間違い? 着替えなくて良かった?」


「そうです」


眼福(がんぷく)でした」


 (だま)された。着替えろ、着替えろ、言うから、あのエロい人が!


 てっきり、服を脱ぐんだとばかり……。


 家に帰る時は、新浜松によってエロい人をコロコロしてやる、絶対。


 がっくり肩を落として、着替えを済ませる。


 もうなんか、肌着姿を二人に見せても動じなくなってるな、なんて思いながら、次は袋のガムテープを()がしていく。


「やっぱり、垂れてる~」


 懸念していた通り、ウナギ弁当のタレが()れていた。


「携帯は、個別に包んでくれてたんだ。そこん所はえらいな、エロい人」


 また、携帯端末機を緩衝材に包まれた中から取り出した。


「なんだ。電源は入れっぱだった……」


 特に通知のない事を確認してロッカーをあとにした。


 事務所でコーヒーをいただきながら、今後の予定を聞く。


 喜多村の迎えを待って、その迎えの車で本家に向かうらしい。


「それまで、暇潰しに見回ることはできますか?」


「そんなに時間はかからないと思いますよ?」


「そうですか……」


 そうそう来れないだろう、こんな場所は。見て回れないのは、ちょっと残念。


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