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【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
2.5 『古都』へ

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40.戦闘機に乗るみたい……*


 運転席? 操縦(そうじゅう)席に収まったボクにベルトを付け、(くだ)をスーツに付けていくエロい人。



「でかいな。ちっこいの無いか?」


 ヘルメットを用意して頭に被せてくれるが……ぶかぶかだ。しかし、「ちっこい」の言葉が(しゃく)(さわ)る。


「それで最小です」


「仕方ない」


「ああっ、それ……」


 (ふところ)からボクのピンクのパジャマを取り出したエロい人。それをメットに()めてくれ頭に着けてくれる。


 ヘルメットを着けるとキーンというかヒューンというか、高音の雑音(ノイズ)退(しりぞ)いた


「ちょっと、そっちも返して」


「仕方ありませんな」


 まったく油断も(すき)もない。


 ボクの前チャックを開けて、パジャマを突っ込んでくれる。


 って、ちょっとぉ、胸、触ったよね今。


 ついでに、お弁当の入ったコンビニ袋、ガムテープでくるぐる巻きにされたそれを渡してくれる。


 それもあったね。でも(せま)すぎて置いておく場所がなさそう。


 座席周辺を見回しもて余していたら、またしても胸に突っ込んでくるエロい人。()い事したように笑顔を見せるのは逆効果です。


(たて)にしたらタレが(にじ)み出ないかな?」


「後ろを(あず)かる、牧野(まきの)です。よろしく」


 地上から若い女性が挨拶(あいさつ)してくる。


 後席に乗る人、運転手、操縦者か。


 エロい人とはエロい違いだ。お胸も(ひか)え目で若い人。マキナと同じくらいかな? 二十代後半? アラサーだね。


「よろしく、蒼屋(あおや)です。お願いします」


「牧野二()たのむ」


 梯子(ラダー)を下りて牧野さんに言葉をかけたエロい人は事務所? に戻って行った。名残(なごり)()しそうに……。


 牧野さんが後席に乗り込むと、キャノピーが下ろされる。操縦席は真っ暗になってベルトが()まる。


 お弁当はともかく、お菓子はダメになったよ。買うんじゃなかった。


 ヘリコプターで優雅(ゆうが)に景色を見ながら食べようと思ったのに~。


「真っ暗で何も見えない……」


『大丈夫ですよ』とヘルメットのイヤホンから牧野さんの声がする。


 するとすぐにキャノピーに外の景色が映し出された。よく出来てる。


『ゴーグルを付け着けると、もっと見えますよ』


「おおっ……」


 なるほど、言われる通りゴーグルを着けてみると後方を除くほぼ全方位が見える。


 自分の身体も()けて空中に浮いてる感じだ。どうなってんの、これ。


 (うわさ)に聞くVRってやつか? うち、貧乏(びんぼう)だったので買ってもらえなかったんだよね。


 子供の教育には良くないとも言われたし。


 前下方にはトラ(じま)模様の小さなトラックが来ているのが見える。それが機体と(つな)げられると機体が前へ進み出す。


 それに()れてハーフパイプを()せた見た目の格納庫(ハンガー)からボクたちは出ていく。


 ()かれて広場(エプロン)まで出ていくとトラ縞模様の車が(はな)れて戻っていく。


「もう、エンジン? は掛ってるのかな?」


『もちろん』


 後席の牧野さんからまた助言がくる。


 イヤホンからキュキュッと音が出る。


『南方海上にオブジェ(OBJ)出現。タゲ(ターゲット)と思われる』


『ラジャ。なる早で上がる』


「なんです?」


『単なる業務連絡ですよ』


 とてもそうとは思えないけど。


『ちょっと練習、しましょうか?』


「練習……とは?」


『操縦の練習』


「それ、私に関係なくないじゃないですか?」


『そうですか? 自分が操作できないと貴方(あたな)がやる事になりますが?』


「私が、やる事になったらもう終わってる気がしますが?」


『地上とキスするまでは(あき)めちゃダメですよ。ほら操縦桿(スティック)を軽く(にぎ)って、少し引く』


「はあ~、分かりました」


『ユーハブ』


「何です?」と()くと『何でもないです』と返される。


 言われた通り操縦(そうじゅう)(かん)を握って少し引く。


『そうそう。もう少し引いたら上昇の角度ですよ。次、中央(ニュートラル)に戻して前へ押す。こっちはもっと慎重(しんちょう)に』


「こ、こう?」


『そうそう、それで下降します。次、(まん)中に戻して、右に倒して』


「こう?」


『そう。すぐ戻して。つぎ左』


「こう?」


『そう。すぐ戻して。今、右ロール──右に転がってして停止、左に転がって停めました』


「は、はあ?」


『次で最後、右旋回(せんかい)。右足のペダルを()んで、戻して。左旋回、左ペダルを踏んで戻して』


「これで良いですか?」


『いいですよ。じゃあ、タクシー──誘導ゆうどう路に出ますか』


「はあ?……はい」


四〇(よんまる)管制(かんせい)四〇五(よんまるご)SQ・FD-一〇二(いちまるに)・二三五機、離陸を()う、オーヴァ』


『二三五、Aランウェイ待機位置にて待機、オーヴァ。っせぇ~んだよ。なに(ちち)()り合ってんだ、おい』


了解(ラジャ)──』


 カンセイさんとやら、心の声がだだ()れです。それに乳繰り合ってません。


『──では、左を()んでと言ったら踏んで。行きますよ?』


「はい……」


 ヒィーンと音が一層(いっそう)大きくなると機体が進み出す。


 そのあと、言われるがまま、ペダルを()んで戻してをして細い道を通り滑走路の端っこらしき所に着いて進行方向を滑走路に向ける。


『四〇五SQ、二三五、離陸を許可します』


『ラジャ、離陸します。オーヴァ』


『ご安全に(怒)』って、また感情が出てる管制(カンセイ)さん。


『引いてと言ったら、さっき引いた位置まで引いて』


「りょ、了解」


『いっき、まっす、よ~っと!』


 そんなノリは要らない、牧野さん。きっと……。


 一際(ひときわ)、コーーっと音を立てて機体が走り出し、座席に背中が押さえつけられる。


『V1超過……Vr。引いて』


 牧野さんの言葉で操縦桿を引くと機体が上に(かたむ)き、ふわっと身体が浮いた。


「飛んでる、飛んでる!」


『そうですね~、飛んでますね~。もう戻していいですよ。少ししたら……少し前に倒します……』


 浮わついた声色(こわいろ)の指示で操縦桿を戻したあと、牧野さんの次を待ちながら周りを見る。


 ぐんぐん、機体が青空の中を上がっていく。脚があるであろう場所には、映し出された街並みと森林が小さくなっていく。


『キョウさん……今』と牧野さんの合図で操縦桿を前に倒して戻す。


 すると水平飛行に移って、イヤホンから知らない人の声が聞こえる。


『二三五、こちら三〇三、敵機(ターゲット)視認(・インサイト)。見えてるか?』


『見えてるよ。対処は仲間に任せて古都へ飛ぼう』


『もちろんだ。自分の三〇三、二三五、二七八の縦列』


『了解。周囲、機影なし、IVS起動。キョウさん、右ペダル踏んで』


「はい」


 言われた通り右ペダルを踏むと機首が右に向く。すぐ指示が来て、それを戻した。


「あんまり景色がキレイじゃないな~」


 ゴーグル越しではコントラストが(ゆる)めで、しゃっきり見えない感じ。


『ふっふっふっ~』


 牧野さんから含み笑いが聴こえてきて、おぞけがした。イヤな予感がする。


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