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【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
4.本家からの再出発

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202/202

202.サキちゃん大激怒!


『大したことで無くば、「秘密を共にする仲」とは言わぬ』

「秘密を共にって大げさな。『くさい仲』って臭い所に一緒に居たってことじゃないの?」

『そなた⋯⋯、何を言っておるのだ?』


「いや、その、トイレで連れションを⋯⋯」

 尻すぼみに小声で言う。

 あ~、ダメだ。陛下と二人並んでお花摘みする情景が思い浮かんだ。なんか真艫(まとも)に考えられなくなってる⋯⋯。


『くさい仲とは秘密を共にする仲間じゃ。何か、陛下や奥殿(おくとの)・聖殿の秘密を見知ったのではないか?』


「いや、そんなことは⋯⋯」

『奥殿での見聞きや気に()まる何かがあったのでは無いか? よもや破壊など、してはおらぬであろうな?』


「あ⋯⋯。いや⋯⋯」

 破壊と聞いて思わず口をつく。

 あれ(﹅﹅)は『くさい』あとだから⋯⋯、関係ない⋯⋯よな?


『──あ、とは何じゃ? 聖殿の御物(ぎょぶつ)でも壊したのか?』


「いや、あの、その⋯⋯」

『──何じゃ、はっきり申せ』

「逃げる時に聖殿のセキュリティに侵入して、ちょこちょこ〜っと⋯⋯」

『⋯⋯⋯⋯』

 サキちゃんの沈黙が長くて怖い。


「あの~サキちゃん?」


『──このバカものが~~! ✕✕✕が✕✕✕✕! ✕✕✕を✕✕✕✕!⋯⋯』

 早口で(まく)し立てて叫ぶので、何言ってるのか良く分かりません。兎に角、怒り心頭なのは分かった。


『──はあはあはあ⋯⋯。あちらには、そなたらが侵入したのは露見しておるであろうな⋯⋯』

「⋯⋯おそらく?」

『うむむむむ⋯⋯。キョウ、そなたは病気じゃ。怪我(ケガ)でも良い。こちらに戻り蟄居(ちっきょ)せよ! よいな?』


「え~~?⋯⋯。チッキョって何?」

『はあ~~~⋯⋯。そこからか⋯⋯』

 屋敷に閉じ(こも)って外出できないことです、と笹さんが教えてくれる。


『──分かったか? ただちに! 帰って! 謹慎せよ! よいな?』

「なんか納得できないけど、分かった」

 まあ、良かったのか? 聖殿に戻ったら、ぜ~~ったい、帰れなくなってたよ。


『納得できずとも、するのが其方(そなた)のためじゃ』

 その一言で通話が切れる。


「はああ~。今からモールに、行ったら、ダメ、だよね~?」

 笹さんに端末を返して()く。沈んだ表情で笹さんが首肯(しゅこう)する。


「それで、モールに行くんですか? 行かないんですか?」

 運転席の気更来(きさらぎ)さんが確認してくる。


「ダメみたい。このまま⋯⋯」

「──モールには行く。キョウ様には喜多村の体面を保っていただかねば。そうだな、笹」

 断ろうとしたら、黙っていた打木さんがモール行きを勧めて、笹さんに同意を求める。


「うむ⋯⋯、そうだな。打木の言う通りだ。モールへ向かう」

「了解」

 笹さんが同意して、目的地はモールで決まり、そのまま車は進む。


「良かったの?」

 ロードノイズだけが聴こえる車内で、笹さんに訊く。直帰しない判断について、だ。


「構わないでしょう。帰り(みち)で少しばかり寄るだけです。でも少々問題が⋯⋯」

「問題?」

「服飾エリアの開店まで、まだ間があります」

「ああ~」


 走り続けてモールに着いても9時前後らしい。服飾エリアに立ち入れるのは10時、夏は9時になるらしいけれど、まだ時期じゃない。

 地階の食品売場は、7時半から出入りできるけれど。


「じゃあ、行っても買い物できないんじゃないの?」

「まあ、そこは裏から強引に」

「ひえっ⋯⋯」

 体面を保つためとは言え、手段が非道なら、体面を保つ意味がないのでは?


「ご心配には及びません。キョウ様はキタムラモール、創業家の関係者。オープン前に立ち入ったとて、何ら問題ありません。むしろ、一般客が居ない方がキョウ様にとって好都合です」

「ああ~、なるほど」

 ボクが一般客に交じる方が、店や一般客を混乱させるだろうね。


 モールの社員用駐車場に車を()め、社員通用口へ向かう。


 インターホンで守衛室に連絡、事情を説明しようとしたのだが⋯⋯。

 守衛さんは、ボクを覚えていて大歓迎された。

 守衛さんの娘さんがボクのファンだったっけ?


「キョウ君──すみません、キョウ様には確かパスを与えていたはず⋯⋯。はい、登録されていますよ」

 キョウ君呼びは、娘さんのボクの呼び名が伝染(うつ)ったらしい。謝られたあと、ボクの登録は生きていると教えてくれる。


 だけどね〜、論理キーを受けている携帯端末が手許に無いのよ、とほほ⋯⋯。

 その辺の事情を説明して守衛側で開けてもらう。


 社員エリアからエレベーターで二階に上がり、服飾エリアのバックヤードに入る。そこで品出し中の(ひと)を捕まえ、責任者を呼んでもらう。


 現れた責任者は、見覚えのある(ひと)だ。

「ええ~っと⋯⋯。ま、ま⋯⋯、牧村さん?」


「良く覚えておいでです。牧村です。それで本日は朝早く、どうされました?」

「こんな(なり)ですので、外面を良くしたくて。ついでに下着も」

 両腕を広げてジャージ姿をアピールする。


「はあ、その案内をせよ、と?」


「いいえ。フロアに立ち入る許可と営業時間外ですから決済のお手伝い、ですか?」


 はいはいと、牧村さんは何度も(うなづ)き手を打つ。以前の手続きを思い出したようだ。


「分かりました。どうぞ見回ってください。御用の際、また呼んでいただければ参ります」

「ありがとうございます」

「では⋯⋯」

 あっさり商品の品出し・整頓に牧村さんは戻っていく。


 さて、どうしよう? もうワンピースはいいな。パンツスタイルで行こう。

 ハンガーラックには夏を先取りしたリネンシャツが並ぶ。

 生成(きな)りからパステルカラーまで品揃えもばっちり。

 (カゴ)を片手に見回り、気になる服をそれに放り込む。気づいたら籠いっぱいになっていた。いつの間にか無頓着(むとんちゃく)に籠へ()れる悪癖がついている。


「どうされました?」

 籠へ放り込む手が止まったボクに羽衣さんが、聴いてくる。


「いや、着替える一着で良かったのに気づいたら知らずに籠に()れてて……」

 夏用に準備しなきゃと思って、つい。


「いいじゃないっすか、夏物」

「そうですね~。気になるなら手に取って、あとで取捨すれば良いだけです」

 羽衣さんが勧め、気更来(きさらぎ)さんもそれに乗る。


「それもそうか⋯⋯」

「「そうです、そうです」」

 どうして、同調する? 笹さん・打木さんは苦笑いしている。


「じゃ、じゃあ、次はパンツ」

 ボトムスの*什器(じゅうき)から適当に見繕(みつくろ)う。

(什器:衣服の陳列棚。ハンガーラックも含まれるんだったか⋯⋯)


 いっぱいになった籠は、空の籠と交換して笹さんが持ってくれる。お陰でパンツも籠いっぱい⋯⋯。


 だぼっとしたバミューダとか、七分丈のパンツとか、折角だしショートパンツ、ホットパンツ、キュロット、ペチパンツなどなど。手当り次第に近い。


 ヤバっ。集め過ぎた。次は下着か⋯⋯。

 無難にキャミソールとショーツを一着づつに自重する。


「たったそれだけですか〜?」

「いいでしょ? 着替えるだけだし」

「そう、ですか⋯⋯」

 なんで残念そうなのよ? 羽衣さん。


 一旦、試着コーナーへ行き、その前で取捨の品定め。

 なぜか、まだ呼んでもいないのに牧村さんがやって来る。それに、どうしてかカメラ──本格的なヤツを首にぶら()げている。


「お決まりになりましたか?」

 ずいぶん多いですね~と、ふたつの籠を(なが)めて言う。


「いえ、どれにしようかと適当に籠へ容れてしまったので」

「気になったならば買いましょう! 衣服との出合いは千載(せんざい)一遇(いちぐう)一期(いちご)一会(いちえ)です!」

「そうですそうです」


 なぜか、牧村さんの口がよく回る。それに気更来(きさらぎ)・羽衣両人も強く勧める。

 ボクには、宣材(﹅﹅)一遇って聴こえたよ。一期一会? そこまで言う?


「それに、下着が一着づつは残念です」

「「そうそう」」

 羽衣さんの言い分に、牧村・気更来(きさらぎ)さんが唱和する。笹・打木の両名は苦笑いしてるよ。


「アウターは兎も角、(インナー)はこの前、充分買ってるから」

「そ、それは⋯⋯そうですが⋯⋯」

「「残念⋯⋯」」


 ボクの言い分に、羽衣さんは抗弁しようとし、牧村・気更来(きさらぎ)両人がまた声を合わせて落胆する。


「ま、まあ、アウターは買います。夏物は準備しないと、と思ってたので⋯⋯」

「それは良い判断です。では⋯⋯」

 籠から下着一対を取った牧村さんが差し出して試着コーナーを指す。


「──着替えてください」

「え? でも、精算が?⋯⋯」

「そんなものはあとで良いのです!」

 タグだけ回収してチェックしますからと牧村さんが強請(ねだ)ってくる。


「「そうですそうです」」

 なぜ、そこまで同調する? 羽衣・気更来(きさらぎ)の御両人。


「ま、まあ、そこまで言うなら⋯⋯」

 下着を持って試着コーナーへ入る。奥殿の赤いジャージを脱ぎ、ビスチェを脱ごうとして⋯⋯脱げない⋯⋯。


 これって、ひとりじゃ()も脱げも出来ないヤツ。サザレさんたちに着付けてもらったから失念してたわ。


「着替え終わりましたか?」

 着替えたのを見計らって牧村さんが訊いてくる。


「それが⋯⋯。ひとりで脱げなくて」

 笹さんに脱ぐ手伝いをお願いする。

 羽衣さんが「自分が⋯⋯」と立候補するけど、そう言うと思って笹さんにお願いしてるの!


「衣服のことなら、わたくしが!」

 羽衣さんの尻馬に乗って牧村さんも言ってくる。

 だ・か・ら、ボクが指名してるのに自分を推してくるかな〜?



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