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172.久々の……*


「送り届けていただき、ありがとう。お休みなさい」

「とんでもありません。お名残(なごり)()しいです」

「そ、そうです、ね?」

聖殿(せいでん)にお移りになられるのは、いつ頃になるのでしょうか」

「え? あ~~──」

 何それ、そんな話……あったっけ? あったか。確か、殿下にお子ができてからだよね。


「──まだまだ、ず~っと先じゃない?」

「左様、ですか……心よりお待ち申し上げております。では」

「はあ~」

 ほんと疲れた。殿下にお子、か。さしあたってマキナにお子ができないことには何も考えられない。


「ただいま~」

 明かりが減光され薄暗い部屋に向け帰宅の挨拶(あいさつ)(つぶや)く。みんなを起こさないよう静かに部屋を抜けていく。

 リビングには、仮設のベッドが広げられ、そこには誰かが眠っている。もう、もう一つ部屋をもらうべきなんじゃない?


 朝には新都へ帰るとしても、こちらに戻ってくる気満々にしてるからな~。

 寝室にたどり着きマキナの(となり)に眠ろうと思ったけど、ベッドには一人しか眠っていない。

 ってことはマキナ一人?


「…………」

 念のため、確認する。確かにマキナが一人で眠っている。


「マキナ、寝ちゃった?」

 もう一人がどこで眠っているかは置いといて、ベッドに(もぐ)りこむ。


「……キョウ、か」

「うん。ただいま」

「お帰り」

「ふたりきりみたいだけど、このまま眠らないよね?」

「いや、眠るけど?」


「そんなこと言わないで。やっと、ふたりになれたんだよ?」

「こら……やめろ。くすぐったい……」

「ねえねえ……」

 身体を揺すっても撫でても反応が薄い。良いもんね~。勝手にやっちゃうから~。


「……おい」

「…………」

「はあ~~……好きにしろ」

 好きにしろ、いただきました~! 下着を脱いで本気モードに移行。


「……うっ」

 丁寧(ていねい)御奉仕(ごほうし)すると(かす)かに反応してくる。


「はぁ……はぁ……」

 ようやくエンジンがかかってきたみたい……。


「どこでこんな……くっ……」

 それは秘密。まあ、殿下のところで覚えたんだけど。


「……うっ……くっ……」

 マキナエキスを堪能(たんのう)したので、やっとこちらも準備万端(ばんたん)。そう思えばあの注射はとても便利だな。


「それでは、久々の……」

「くっ……キョウ……変わった、な……」

「変わったよ、マキナに気持ちよくなってもらうために」

「何か、違うキョウになっていくようで……」

「ボクはいつまでも変わらないよ。ずっとマキナの側にいる」

「うう……もう……」

「……マキナ」

 呼んでも返事がない……。マキナに気持ちよくなってもらえた? やった、勝った……でも、念には念を入れ、て……つながり続けたまましばらくいた。


「ふぅ~~」

 少し汗かいちゃったか……。またシャワー浴びよっか……。取りあえずローブだけ羽織(はお)って部屋を抜ける。


「みんな、よく眠ってる……」

 リビングには仮設ベッドに眠る姿がある。起こさないですんだようだ。


「シャワーですか? ささ、行きましょう」

「どうして……」

 部屋から出ると羽衣さんが待っていた。


「家族優先って言ってらしたので邪魔(じゃま)しないようにしていたんです」

「……はあ?」

 意味がよく分かりません。ふたりっきりになれたのは偶然ではない、とか?


「夜は長くて短いんです。急ぎましょう」

「ちょちょっとぉ~?」

 お風呂へぐいぐい押されて行く。門をくぐるとエロ担当の斎木(さいき)さんのみならず気更来(きさらぎ)さん歩鳥(ほとり)さんまでいる。

 その(かげ)にカエデさんツバキちゃんまで……。


「どうしてカエデさんやツバキちゃんが? 部屋で寝てたんじゃないの」

「護衛の待機部屋に隠れてた」

「羽衣さんが面白いもの見せてくれるって」

 そう聞いた羽衣さんと斎木さんがドヤってる。ハメられた……。ちゃんと眠ってるのが人なのか確認……なんてするか? 普通。


「はあ~、ボクはシャワー浴びて寝たいんだけど?」

(のど)(かわ)いておいででしょう? さあさあ、こちらをどうぞ」

「うん、ありがとう……って、これ?」

 ぐびっと飲んだら、アノ苦い麦茶じゃん。これを飲んじゃうとマズいんだけど……何から何までハメられまくってる。


「ローブを脱がせますね~……なんと手間のかからない……」

「いや、あのね?」

 ローブの下には何も着けていない。脱がされると一斉(いっせい)にみんなが脱ぎだしている。


「さあさあ、浴場にどうぞ」

 押されて入るとお風呂マットが()かれている。これはもう引き返せないのでは?


 ボクはシャワー浴びるだけで良いんだけど。



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