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166.サガラ・バラエティー


「それで……ツバキちゃんやカエデさんは帰らないの?」

「心配だから今夜、泊まるよ」

「私も。卒業まで(ヒマ)だし」

「…………」

 アヤメさんが無言で聴いてほしそうにしてる。


「それで学校はいいの? ボクの友達は帰ったよ?」

 うん、帰ったはず。拉致(らち)(さわ)ぎで、お別れは言えなかったけど。


「大丈夫大丈夫」

「キョウちゃんの方が大事だよ」

 それで良いのかな~? アヤメさんが自分自身を指さして聞いてよ~って顔、してる。


「……アヤメさんも残るんだね?」

「そうだよ~。私も残るからね?」

 ──はいはい。


「そ、そう言えば、サガラの番組はどうなってるかな~?」

 何とか昼間の話題を変えようとサガラの名前を出してみる。


「キョウ、食事中のテレビは感心せんな」

「そう……ごめん」

 マキナの言うことも(もっと)もだね。


「番組……。そう言えば、どうなってるのかな~」

「うちも()たい」

「おい!」


 マキナが止めるも、カエデ・ツバキの二人がリモコンを(さが)し当ててテレビのスイッチを入れる。


『こんにちは。今日はまた、特別に蒼湖(おうみ)五條(ごじょう)銀行からお送りします──』

 ちょうど番組のオープニングに合ったらしい。サガラが挨拶(あいさつ)している。


「どう言うことだ?」

「銀行からって……スゴいね?」

「そうだね?……」

 ほ~ら、銀行から放送って変だよ。どうなってんの? 前の放送を観てないからよく分からない。


「それはね、放送局に視聴(しちょう)者が殺到(さっとう)したことが有ってね、一番安全で保管(﹅﹅)するのに便利な銀行になったんだよ?」

 アヤメさんが聴きもしないのに解説する。いや、ボクもなぜ銀行なのか知りたかったけどさ~。何で知ってんの?


 意味ありげな〝保管〟ってのが気になる。


「放送局に殺到って、蒼湖(おうみ)物騒(ぶっそう)だな」

「局に物騒なものが有ったからね?」

「ギクッ。(だま)って見ようか、アヤメさん」

 あ~~、銀行の意味、分かったかも……。


「それで銀行……まさか……」

「物騒なブツって……」

 カエデ姉妹が一斉にボクを見る。


「な、何?」

「まあまあ、今日のファッションショーを観れば少し分かるよ」

「アヤメ(ねえ)、何知ってるの?」

「う~~ん……少し?」

「どうして疑問形?」

「だから見れば分かるって」


 画面では、場所を提供(ていきょう)した五條(ごじょう)支店長とのお礼のやり取り、ワイプで映されたスタジオのパネラーとの番組オープニングの流れを消化している。


『さて皆さん、こちらにお邪魔(じゃま)していると言うことは、お分かりですね?』

『分かってるから(はよぉ)せぇ~や』

 サガラの説明にワイプ向こうのパネラーが()かす。


『少年Kの衣装(いしょう)プレゼントに多数のご応募くださり、ありがとうございました──』

『ワイも応募したで~』

『そうそう。応募せんヤツ、居らんやろ?』

『もう、説明はええねん。はよ発表』

 パネラーがそろって応募したと報告している。


「ちょっと。まさかとは思うけど」

「少年Kって」

「…………」

 ツバキ・カエデ二人が感づいたようで、こちらを見てくる。マキナは無言で圧力かけてくる……。アヤメさん、説明してよ?


『では、発表、します──』

 テレビからドラムロールがドロドロドロドロ鳴っている。

 それを聞き、マキナ姉妹は画面に目を移す。


『──市内にお住まい、サクヤさん。商品はこちら!』

 画角の外から人形(ひとがた)に装着された下着がフレームインしてくる。


「「ああ~~!」」

「…………」

 まあ、そうなるよね? ボクは慣れたし予想できたから良かった? けど。

 人形(ひとがた)がボクを()したものだもん。無言でにらんで観てるマキナが怖いんですけど。


「これ、問題だよね~?」

「セクハラだよ、羞恥(しゅうち)プレイだよ。抗議(こうぎ)してやる」

 まあ、無理だと思うけど。カエデさんが携帯を取り出している。


「サキちゃん──お館様? が推進してるみたいだから無理だと思う……」

「「はあ?!」」

「キョウちゃん、知ってる、知ってたの?」

「ひどい。みんなのオナ──目で凌辱(りょうじょく)されてるよ、きっと」


 それは考えたくないかも……


「何か、蒼湖(おうみ)の人々にボクを知らしめるため、らしい。あと、男に慣れさせるため、とか?」

 だから抗議は無意味。


「勝手に人の夫のプライベートを(さら)すなんて……」

「マキナ姉、知ってたの? 許していいの?」

「いや、知らなかった。お館からは……キョウが知られるくらいは辛抱しろと……」


「……ひどい」

「そんな~……」

「お前たちも覚悟しておくんだな」

「「…………」」

 姉妹会議の間も抽選に(あた)った人たちが発表され人形(ひとがた)が並んでいく。


『──次は……市内にお住まい、京の(いぬ)さん。商品はこちら……』

    (『ヒャッハーー!』)

 遠く──と言っても館内から奇声が聴こえる。それに合わせて騒音も上がる。聴かなかったことにしよう。


「何だ、今の声は?」

「さあ? 館の中っぽいけど」

「気にしないで。続きを観よう」

 想像つくけど詮索(せんさく)されたくないな~。


 下着の当選者発表がすみ、普段着の発表に移っていく。姉妹たちは歯ぎしりしながら観入ってる。



順次、妻イコール男を元に戻していきます。ご了承ください。

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