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146.結婚指環

すみません……投稿、失敗しました……


「……何か、アヤメさんのはイヤ」

「そんな~、せっかく買ったのに着けてよ~」

「……分かった。ネックレスにして首にぶら下げるよ」

 少し考えて弥縫(びぼう)案を告げる。(✳️弥縫(びぼう):取り(つくろ)い。一時しのぎ)


「そう……仕方ない。じゃあ、もう一つを私に()めて」

 そう言い、アヤメさんも左手を差し出してくる。ちょっと躊躇(ためら)ったけど、小箱から残る指環(ゆびわ)を取ってアヤメさんの薬指に着ける。


 もらった指環を箱に戻してローブのポケットに仕舞う。


「キョウちゃん……私、指環、用意してない……」

 アヤメさんが片付くとカエデさんが謝ってくる。


「いいよ。こんなのは飾りだから」

「……飾りって言うわりにマキナ(ねえ)のは、ちゃんと着けてるじゃん」

「今夜は、どうするの? 四人で──ツバキちゃん入れると五人では、さすがにあの大きさのベッドでも眠れないよ?」

 カエデさんの文句はスルーして人の割り振りを相談する。「──ちょっと、答えて」って追い撃ちが来るけど、それも流す。


「そうだな~……キョウが誰と寝るか選べばいい。外れたものは簡易ベッドだな」

 元来、交替で(ねや)を共にするので、一度に眠るようには考えられていない。(✳️(ねや):寝室)

 つまりボクが同衾(どうきん)を平然と提案するのが異常だと?(✳️同衾(どうきん):同じベッドで眠ること)


 だいたい、あのでっかいベッドは何なんだ? 並んで寝るためじゃなかったの?


「そうだな~……マキナは一人目として、あとは……カエデさん、にしとこうかな~?」

「──やった~!」

「──え~~!」

 カエデさんは、跳び上がって喜ぶ。一方、悲嘆に暮れるアヤメさん。


「どうして~キョウちゃーん?」

「だって……アヤメさん、気持ち悪いんだもん。やらしそうだし」

 出会いがアレだったから、悪印象がなかなか(ぬぐ)えないんだもん。


「女は……女はね~、やらしくて普通なんだからね?」

「分かってるよ。みんなが抑えてるのは分かるんだけど、アヤメさんは、こう……体じゅうからにじみ出てるんだよ」

「そ、そんなバカな~」

 アヤメさんは(あわ)てて体をねじり、自身のあちこちを見たり匂いを()いでいる。

 いや、見て嗅いでも分かるものじゃないから~。


「ってわけで、ツバキちゃんも簡易ベッドでお願い」

「うん、分かってる」

 ツバキちゃんは、物わかりがよくてよろしい。


 配置が決まったところで、マキナがリビングの壁に仕舞ってある簡易ベッドを展開する。もしかして、護衛に用意されたベッドなのかな~?


「それじゃあ、寝ますか。お休み~」

「……お休み」

「……お休みなさい」

 アヤメ・ツバキの二人とお休みの挨拶(あいさつ)を交わして寝室に移る。


「それで、どう並ぶの? ボク、マキナ、カエデさん、でいい?」

「まあ、構わんが」

「せっかくだから、マキナ姉、キョウちゃん、私にしようよ~」

「カエデさん、大丈夫?」

 興奮で眠れないかもって意味で、聴いてみる。


「大丈夫大丈夫」

 本当(ほんと)かな~?


「じゃあ、それで寝ようか」

 ローブを脱いでボクがベッドの真ん中に潜りこむと、マキナが片方からにじり寄る。ちょっと近くない?

 ベッドに上がってこないカエデさんを見ると立ちすくんでいる。


「カエデさん?」

「いや、何でもない……」

 赤面してカエデさんがにじり寄ってくる。感覚が麻痺(まひ)してたけど、下着姿のボクはちょっと刺激が強すぎたかも?


「それじゃ、お休み~」

「お休み」

「お休みなさい」

 ヘッドボードにあるリモコンで部屋の灯りを減光する。

 暗くなったのをいいことに()の方から横っ腹を(つつ)いてくる。

 そちらに目を向ければ(くちびる)を突き出している。やれやれ……。


 そ~っと反対を(うかが)うと目を(つむ)っている。

 向き直り、そっと唇を合わせると、元の姿勢に戻って寝直した。


 やっと眠れた……と思ってたら、お腹をごそごそされてる。マキナ……今夜は無しって言ってたじゃん。

 まとわりつく手を押し戻す。戻したと思ったらまた忍んでまさぐってくる。


 さわさわには、相手にしないで眠気に任せて眠りにつく。



 すっきり目覚める。と言っても夜中だった。おとなりを起こさないよう慎重にベッドから下りると、トイレに立つ。

 やっぱり、真ん中に眠ると損だ。

 二人が眠るリビングを横切りトイレに向かう。


 用を足して寝室に戻る。また起こさないよう静かに潜りこむと眠りについた。

 あ~、何か忘れてるんだけど……思い出せない。まあ、いいか。



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