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138.乱入者


「あ~、タンポポちゃん、別に何もやってないよ?」

「なんだ、アヤメおばさんとカエデおばさんだったのか~。それで、うちのキョウになんの用?」

「うちのキョウ……って、ど~ゆうこと?」

「あの~、タンポポちゃん?──」

 ま~た、余計なこと言いそうだよな~。


「そりゃ、将来を約束したからに決まってるでしょ?」

「しょうらい」

「そう、決まってるの」

「……将来?……って何?」って当然カエデさんが聴く。


「──それは、あとで話そうか?」

「将来って言ったら結婚に決まってるでしょ?」

「ぷっ……あ~、結婚ね? よかったね、結婚」

 既婚者として余裕の笑顔で取り合っていない。なんなら嘲笑(ちょうしょう)までしてる。


「わ、笑ったわね?」

「わね~?」

「ちょっと……これを……」

「タンポポちゃんたち、ソレはやめようか?」

 ポケットから携帯を取り出し操作し始める幼女ーズ。予想通りの行動に(あわ)てて止めるけど、残念。テーブル向こうで手が出せない。


「これが目に入らぬか~!」

「か~!」

「ひかえおろ~!」

 やっちゃったか~。また〝事後写真〟を振りかざすタンポポ老公ご一行。


「な! それは一体?」

「キョウちゃん!」

 アヤメ・カエデ姉妹が(まなじり)を吊り上げて振り返る。


「いや、それは、ですね?……」

 もう、説明する身にもなってほしい。なんで人間は腕が短いんだ。テーブル向こうまで届くように二、三メートルほしいよ。


 またしても、アヤメさんたちを手招きして「おままごとのお遊び」だとタンポポちゃんたちには聞こえないよう耳打ちする。


 耳許で(ささや)くたび、二人は身悶(みもだ)えする。顔が近いのをいいことに(くちびる)をよせてキスしようとして来るし。会場の皆さんが注目してるの、分かってる?


「なるほど、ね……。タンポポちゃん、私たちはマキナおばさんと一緒に結婚したから、私たちが先輩よ?」

「そうそう、タンポポちゃんたちは、あたしのあとだから~」

 ちょっと、なに対抗心を燃やしてるのさ? そこは年長者の貫禄(かんろく)で受け流すところでしょうに? 子供の土俵に上がってど~すんのよ。


「あの~、立ち話もなんだから座ってご馳走、食べよ?」

 ちょうど護衛たちの運んで来たイスもあるし。ってタンポポちゃんたちには座面が低いか?


「そなたらは、何をもめておるのだ?」

「いえいえ、こちらで収めますのでレニ様は、お気にかけられずとも(よろ)しいのです」

 レニ様の登場にみんな固まっちゃったよ。威圧(いあつ)感あるんです、その盛った(ヅラ)が。


「あ、義兄上(あにうえ)()にも言わせてくだされ……」

「お手間を取らせる訳には行きませんので……」

 レニ様には有無を言わせぬよう、介助(べったり)して席に戻ってもらう。

 ちら見するとミヤビ様は、相変わらず食欲が悪いよう。


「さあさあ、食べよう食べよう」

 手が止まっているみんなに発破(はっぱ)をかける。


「う、うん」

「びっくりするね、山級(やましな)の鬼君様」

「そうそう。それにキョウにべったりよ」

「こわい……」

「なんか変な服……」

 ひどい言われようだ、レニ様。まあいい、食べよう食べよう。


「キョウ様……」

「ん?……なに?」

「お友達が、あちらに」

 食事再開って時にまた邪魔が入る。今度は笹さんがやって来て上手(かみて)の入口を(てのひら)で示す。

 見るとドアのすき間から中を(のぞ)く級友が二人。まったく……。


「どうしたの?」

 中座して入口へ迎えに行く。


「下が騒がしいな~って、見にきた」

「キョウちゃん、きれい。写真撮っていい?」

 タマちゃんが携帯を向けてくる。モールで(おそ)われてた時の服、って看破(かんぱ)される。


「写真はやめて。ここはマズいから中、入ろうか?」

「え? いいの?」

「もう、今さらだから。入口で(のぞ)いてる方が怪しいから」

「何か食べていい? でも──」

「夕食取ったばかり。食べられない」

「笹さん、お願いできる?」

(かしこ)まりました」

 打てば響く対応で助かります。


「あらあら……」

 席に戻ったらマナちゃんがボクの席に座ってた。


 タマちゃん水無(ミナ)ちゃんたちは、会場の皆さんに頭をへこへこ下げながら付いて来て、空いたイスに座る。


 都合、二つイスが空いたので、あとは料理か。

 ボクはマナちゃんを抱えてイスに座る。



 切り分けられた豚の丸焼きを食べ、詰め物のピラフを食べして食事会も大詰めに差し掛かりデザートが配られ始める。


 マキナは間に合わないのかな~?



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