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125.兵どもの夢のあと、みたいな?*


「うっ!……なにこれ?……」

 身体の感覚が戻った瞬間、猛烈な生臭さが……。それに全身の倦怠(けんたい)感が(おそ)ってくる。


「か、体が……痛い?……」

 身体じゅう、叩かれてしびれたみたいに感じる。


 頭を上げて身体を確認すると所々赤くなってる。しかも体じゅうぬるぬるになってるし、肌けられた襦袢(じゅばん)がカピカピになってる。


「いったい、ど~やったらこんなことに」

「聞きたいですか?」

「いや。やめておく……」

賢明(けんめい)です」

 笹さんに聴かれてやめる。どうせろくでもない、聞いたらメンタル(けず)られる事象に違いない。


 笹さんに抱き起こされてベッド横に足を着けると、ふにゅんとした感触が。


「なんで、この人たちこんな所で寝てるの?」


 足を着けた所──ベッドの横には気更来(きさらぎ)サラサさんをはじめ、羽衣(はごろも)ウイ、歩鳥(ほとり)ミドウ、斎木(さいき)チドリさんたちが横たわっている。しかも半裸で。


「聞きますか? 聞かないですよね?」

「あ~、分かった。聞かない」

「子作りゲーム、ですからね~? 世の中、聞かない方がいい(こと)は、いっぱいありますから」


 笹さんに支えられ家族風呂に入る。身体は笹さんたちが洗ってくれた上に、抱えられて浴槽に()かる。


「ありがとう。一人じゃとても出来(でき)なかったよ」

「こちらこそ、お仕えできて最高です」

「そう、なのかな~」

「そうです」

 笹・打木コンビがべた()めしてくる。



 お湯から上がっても身体を拭かれ、備付けのローブを着させてくれ甲斐(かい)がいしくお世話してくれた。


「それでは、お休みください」

「ありがと、お休み」


 おまけに寝室まで抱えて送ってくれる。笹さんたちを見送ってサイドテーブルの水差しからお水を一杯、グラスに()いで飲む。


 五臓(ごぞう)六腑(ろっぷ)()み渡るとはこのことか。身体が水分を求めてる。


 もう一杯飲んでからベッドに潜りこむ。


義兄上(あにうえ)、遅いですぞ」

「すみません……」

 レニ様が目を覚ましたのか聴いてくる。


「いったい何をなさっていたのです?」

「それは……トイレに決まってるじゃないですか」

義兄上(あにうえ)……」


 レニ様の声に(あき)れを感じる。ちょっと疲れすぎて、レニ様の相手はできないので無視。それ以前に眠い。



「さあ、義兄上(あにうえ)。昨夜は何をなさっていたのです? 話してくだされ」

「ふえ? レニ様? おはようございます?」

「おはようございます……。ではなくて、ですね?」

 朝はレニ様の詰問(きつもん)で起こされる。


「騒々しい。なんなのだ?」

「あ、おはようございます、ミヤビ様」

「殿下、義兄上(あにうえ)が昨夜、怪しい行動をしていたのです」

 騒がせてミヤビ様まで起きてしまった。


「ボクは何も……ちょっとトイレが長くなっただけで──」

義兄上(あにうえ)は便秘ですか? 二時間近くトイレに(こも)っていたのですか? どこに籠っていたのです?」

 レニ様、眠らずに時間まで計ってたのかよ。


「それに、戻ってこられるとソープの香りが。お風呂にまで入っておられたのです」

「それは……襦袢を汚してしまったので、ですね。お風呂で洗っていたのです」

「ま、まあ、(をのこ)にはいろいろある、であろう。そう問い詰めずともよいのではないか?」

「うっ……それは、そうですが……」

「そうですそうです。男の子には秘めたることがあるのですよ?」


 ほっ……ミヤビ様が理解あって助かった。でも、レニ様はまだ不満がありそうな顔をしてる。


「さ、さあ顔を洗ってこようかな~?」

()もお供いたしますぞ」


 相変わらず、べったりしてくるレニ様が鬱陶(うっとう)しい。


 グキグキする身体に(ムチ)打って洗面所に向かう。


義兄上(あにうえ)歩様(ほよう)がおかしいですが」

「き、気のせいでは?」

「……そうですか?」


 レニ様の疑念は晴らされてないよう。



義兄上(あにうえ)、なんですかそのアザは?」

「えっ? ああ、どこかでぶつけたのでは?」

「なぜ自分で分からぬのです? ぶつけたにしては多すぎます」

 確かに体のあちこち赤くなっている。いわゆるキスマークの内出血だ。


 寝室で着替えていたらレニ様に気づかれてしまう。まったく、あいつらボクが無抵抗だからって好き勝手してくれる。


「そんなこと言われても分からないものは分かりませんので」

「そうなのですか?」

「そうなのです」


 話に取り合わないで、さっさと着付けてしまう。相手にしないのがボロを出さないコツだ。特にボクは。



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