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120.露天に招かれざるもの


水無(ミナ)ちゃんタマちゃん、ゴメン。でも混浴だよ?」

 (あわ)てて浴衣(ゆい)をまとい脱衣(だつい)(じょう)で二人を出迎える。


「うっ……それは……」

露天(ろてん)は別」

 そうなの、タマちゃん? 水無(ミナ)ちゃんに比べ達観(たっかん)してる。


湯浴(ゆあ)()は、まだございますが。いかがなさいます?」

 サザレさんが言葉を()えてくれる。


「だって。どうする、みんな?」

「うん、使う」

是非(ぜひ)もなし」


 大丈夫かな? 可能な限りボクの身体で二人を(かく)すか~。


「これって全部見えちゃう」

()れるとすけすけ」

 そうなんだよね~。湯浴み着をまとった二人が感想をもらす。浴衣(ゆい)は身体を冷やさないためで隠すためじゃない。


 (たけ)(ちょう)ミニスカートくらい短いし、生地(きじ)(うす)い、からね~。


「大丈夫だよ──」

「「大丈夫?」」

 そんな懸念(けねん)を払うよう声をかけると二人が聞き返す。


「──相手も全部見えるから、すけすけで」

「え″~~」

「別に女は見たくない」

「ええっ? タ、タマちゃん、女性はダメだった?」


(ちが)う。女の裸はそこら辺に氾濫(はんらん)してる。……私はキョウちゃんが見たい。そのすべてが見たい」

 あ~、なるほど? ってなるか!


「それは、それでイヤかな?」

「キョウちゃん、早くぬるぬるして、水無(ミナ)ちゃんを」

 って言ってタマちゃんは携帯を構える。


「「え″え″っ?」」

「ンフ~~……はやくぅ~」

「なんで私? 意味、分かんないけど?」

 当然、水無(ミナ)ちゃんが反論する。


「そうだよ、なんで水無(ミナ)ちゃんなのさ?」

「じゃないと私が()れない」

 代わりに水無(ミナ)がキョウ──ボクをぬるぬるしても良いとタマちゃんが言う。


「じゃ、じゃあ私が()るからキョウちゃん、タマちゃんをぬるぬるにして」


「どうして、ボクがぬるぬるしたり、されたりする前提なのさ? ボクが()るから水無(ミナ)ちゃんはタマちゃんをぬるぬる、しなよ」

「ん~~、分かった」

 考えこんだ水無(ミナ)ちゃんが()け合うと「え″っ?」とタマちゃんが(ほう)ける。


「はい、携帯(あず)かるね? シャンプーとボディソはあれね?」

 固まったタマちゃんから携帯端末を(うば)う。自分に矛先(ほこさき)が向くとは思ってなかったろうね。


「え″っ? え″っ?」

「タマちゃん、あっちあっち」

 当惑(とうわく)するタマちゃんを浴槽(よくそう)(そば)へ押していく。


「え″っえ″っ、え″え″っ?」

「で、どうすんの?」って水無(ミナ)ちゃんが()いてくる。


「いや、普通に洗うだけ。スポンジがないからタオルを使って」

「分かった」

「え″え″え″~っ!」てタマちゃんが絶叫(ぜっきょう)する。


 水無(ミナ)ちゃんがタマちゃんをぬるぬるしていく。なんとか羽衣さんのこと、うやむやにできた?



「ふぃ~」

「むふぅ~」

 二人は泡を流して浴槽に()かる。


「は~~極楽(ごくらく)極楽」

 ボクもやっとこさ浴槽に浸かって意気を抜く。


「キョウちゃん、オジンくさい……」

「うん、老成しすぎ。──」

 取り返した携帯の録画を()ながらタマちゃんが突っ込む。


「──さすが私。キレイに()れてる」

 ()ったのはボクだけどね?


 三人並んで座ってるところへマナちゃんが来るとボクの(ひざ)に手をおく。


「あ~」

 マナちゃんの意図(いと)が分かり、抱えて膝に座らせる。


「人(なつ)っこい子だね?」

「キョウちゃんのヒザは私のもの、とか思ってる」

 タマちゃんの推察(すいさつ)に、「うん」と躊躇(ちゅうちょ)なくマナちゃんが答える。


 タンポポちゃんアリサちゃんが(ねた)ましそうな視線を送ってくる。


 レニ様は……まだ夢(うつつ)でこちらに気づいてないのかな? 静かで助かる。


「ねえ、キョウちゃん、この子たちと本当に結婚するの?」

「まあ、そうなるね?」

「本気?」

「十二年先なんだから、どうなるか分からないでしょ?」

「「あ~~……」」

 二人はボクの心づもりが分かったらしい。


「ボク、おしおきが(こわ)いから彼女たちの近くに行くよ」

 そう言い、マナちゃんを抱えて席を移す。



「キョウ、旦那(だんな)を放りすぎ」

「うんうん」

「ゴメンゴメン。みんな、のぼせてない?」

 汗をかいてる割りにはしっかりしてる。


「大丈夫よ。お湯から上がって涼んだりしたから」

「夜空、見てた」

「なるほどね。外のお風呂もいいね~?」

「うん」

「たまにはいいわね」

 ボクもみんなと一緒に夜空を(なが)める。月の出は、まだかかるのかな?


「キョウよ。そろそろ、わらわも洗ってくれぬか?」

「覚えていらしたんですね?」

「あたり前じゃ」

 そんなに楽しみにされてもね~。身体は一度洗ってるでしょうに。


 お湯から上がってミヤビ様を(みが)く。スペシャルメニューで悶絶(もんぜつ)させてあげました。手で(くすぐ)り洗っただけなんだけど。


 タンポポちゃんたちは、恐れて近寄ってこなくなったけどね!



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