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108.お昼はミヤビ様たちと*


「はあはあ……これ、本当(ホント)につらいわ~」


 子供たちの前では気丈(きじょう)に振る舞ったけどかな~り(つか)れてる。ちょっと横になりたい。


「キョウ様、大丈夫ですか?」

「うん、やっぱり疲れてるみたい。休みたいな~。でも……」

 放っておくとミヤビ様たちが暴走しそうなんだよね~。早く帰ってくんないかな~。



「ミヤビ様レイニ様、戻りました」

「おお、義兄上(あにうえ)、待っておりましたぞ」

「それで子供らは、いかがであった?」


 五階の自室に戻りリビングに顔を出す。


 メイドさんたちの配膳(はいぜん)を待ちながら、お二人はソファーで(くつろ)いでいる。


 その姿はワイシャツにスラックスのミヤビ様に、矢がすりに()(みどり)(はかま)姿のレイニ様。


 着ている矢がすりがイヤな妄想(もうそう)をかき立てるんですけど……。


〝矢〟って行ったきりだから「帰ってくるな」って意味が込もってるとか……。


「はい、ちゃんとお勉強しておりました」

「そうか、なによりじゃ」

「そんなことより義兄上(あにうえ)、──」


 そんなことよりって。それに兄上はやめてほしいな~。


「──()ましたぞ。下着姿を衆目(しゅうもく)(さら)すなど狂喜(きょうき)の──狂気(きょうき)沙汰(さた)ではありませぬぞ」

 え~っと、なんのこと? それに言い直した? 疑問符(???)を浮かべて首をかしげる。


「そなたの一人ファッションショーを観ておったのだ。それに──」

「見ましたぞ。買い物の数々。なんですか、あのハレンチ(きわ)まる肌着は! はあはあはあ……」

 な、なに興奮(こうふん)してるの? レイニ様。言動が相反してるんですけど~?


「いや、それは……ミヤビ──ハノリ様が押し付けてきて、ですね?」

 見回すと荷物が無くなってる。それにメイドさんたちの前でする話題じゃないよ。


「わらわのせいにするでない。そなたが、のりのりだったからで、だな」

「いや、それは……あのサガラとカメラマンが乗せてきて、ですね? やめませんか? 食事のあとにしましょう」

「わ、分かりました。水着についてもあとでじっくり」

 ひええ~。



「また、お肉……うぷっ」

「どうした?」

「い、いえ……」

義兄上(あにうえ)、肉を食わねば子作りなど、できませぬぞ?」

「いえ、お肉よりお野菜やら、ミネラルを()らないと。あと魚介(ぎょかい)。貝などに含まれる亜鉛(あえん)を摂らないとダメみたいですよ?」


「あれは迷信じゃ。()は魚介は好かぬ」

「迷信って、科学的に証明されてたような……」

 レイニ様、偏食(へんしょく)すぎます。ミヤビ様も。


 せめてもの救いは、スープが野菜たっぷりなこと。調理師さんの苦労が忍ばれる。



「それで……午後の予定はお決まりになったのですか?」

 食後のコーヒーを飲みながら聴いてみる。


「ん……う~ん……」

「やはり義兄上(あにうえ)衣装(いしょう)のお披露目(ひろめ)がよろしいかと思います。ふんす」

 レイニ様、鼻息(あら)くなに言ってんですか?


「レイニ様、もう見ちゃったんでしょう? わざわざ見せることもないでしょう?」

 その口ぶりでは、ボク着せられそうだ。


「テレビでは、今ひとつ(おもむき)がありませなんだ。やはり、生で見ませんと」


 やっぱりか~。

「いやです。乗せられて着ただけで、もっとおとなしいのが欲しかったのに」

「な、ならせめてアノ水着だけでも」

「あの?」


「モールより逃げる時にしていたものじゃ」

「水着姿はテレビでやっておりませなんだ。特に逃げ出す時に穿()いたと言う……」

「ミヤビ様、なんで話したんですか? あれは洗濯(せんたく)中でありません」


「で、では、他の水着を」

「そんなにご(らん)になりたければ、ご自分で着てみられては?」

「そ、そんな……義兄上(あにうえ)のものを着ても良いのですか?」

「ど~ぞど~ぞ──」

 まったく、面倒なひとだ。


「──では午後はタンポポ──子供たちのところにいていいですか?」

「なぜです。()の相手をしてくだされ」

「相手って言われても(みや)びなお(かた)のお相手など、わたくしにはとても」


「そう言わず相手をしてくれぬか?」

「そうです……貝合わせなどして遊びましょう」

 ちなみに貝合わせってトランプの神経衰弱(すいじゃく)みたいなゲームらしい。


「いや、子供たちがお昼寝するし一緒にいたいかな~、なんて」

「それでは()も一緒に。そうじゃ、こちらに子供を()んではいかがです?」


「いや、それは──」

 返答に困ってミヤビ様の顔色を(うかが)うとしぶい表情だけど(いや)がってはいなさそう。


「──ちょっと子らに聴いてみましょうか?──ッ!」


 早速とばかりに立ち上がったら、またよろめいた。


「お気をつけて」

 転びそうなところを(すんで)で白い人、戸隠(とがくし)さんが支えてくれる。素早いね? いつから近くにいたのさ?


 って見回したら戸隠さんの相棒(バディ)角師(かくし)さんも後ろに(ひか)えてた。


義兄上(あにうえ)、大事ありませぬか?」

「そなた、顔色が悪いぞ?」

「だ、大丈夫です……。戸隠さん、ありがとう」


「戸隠、義兄上(あにうえ)に触れるでない」

「は! しかし……」

「ありがとう。もういいよ。では、聞いてきます」


「そなたは休んでおれ。戸隠、角師、聴いて参れ」

「「は!」」

「でも……」


「ささ、義兄上(あにうえ)寝所(しんじょ)へ」

「あ、ありがとうございます……」

 でもね~、なんか密着度が高いですレイニ様。



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