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101.固めの盃* *

【ご注意】

本話の中ほどに『性描写』がございます。



 ミヤビ様とそろって北に向かってベッドに上がる。


「北に向かうは北の極星(きょくせい)(うやま)い──」

「で、固めの(さかずき)、でしたっけ?」


 レイニ様の御託(ごたく)はスルーして式を進める……。


「──なぜ、そなたが仕切る」

「いえ、仕切るつもりはありませんが」

「う、うむ。ならばよい」


 (さかずき)を受けたミヤビ様がレイニ様からお酒を()がれ、それを飲み干す。次にボクがミヤビ様から渡された盃でお酒を受けて、それを飲む。


 レイニ様に盃を返すと手酌(てじゃく)で飲んでいる。なんでレイニ様まで?


 盃を()けるとミヤビ様が受け取り、またお酒が()がれ、それを飲み干す。その盃がボクに回ってくる。


「また、飲むの?」

(だま)らっしゃい」


「これは儀式ぞ」って(おこ)られる。やむなく()がれたお酒を飲み干す。


「でもさ~、これ()っぱらってナニもできなくなるんじゃ?」


「ぐっ……」っとレイニ様が(うな)り手酌して飲み干す。



(もち)をこれへ」


 なんだか、お酒の回し飲みは止めてくれたらしい。


 レイニ様の合図で、お餅を盛った高坏(たかつき)(ささ)げ持って白装束(しょうぞく)の人が入ってくる。


「ちょうどお腹()いてたんだよね~」


 目前に置かれた高坏(たかつき)からお餅を取ってパクつく。


「これ、そなた、神聖なる儀式ぞ?」

「うんま~。やっぱ、お餅は()きたてだよね~」

「……もうよいわ」


「お餅も食べたし、もう寝ちゃっていいの?」

「はぁ~……まあ、そうじゃ。そなた、なんともないのか?」

「ん~……特には。お腹、(ふく)れて眠くなりました。明かりを消して眠りましょう」


 そう言い、ボクは横になる。


「そうではない……。羽徳(ハノリ)様。こなたは、いかな男子(をのこ)じゃ?」

「見たままじゃ。飄々(ひょうひょう)として天衣(てんい)無縫(むほう)天真(てんしん)爛漫(らんまん)

「そうなの、か……。これ、まだ寝てはならん。和合(わごう)の手本を見せるゆえ」


「早くしてください。もう意識が持ちません」

「……ハノリ様、やりましょうぞ? アレを持て」

「え、う、うむ」と、不承(ふしょう)不承(ぶしょう)っぽくミヤビ様がうなずく。


「暗くしてください。子供が見てます」

「そなた、注文が多いぞ?」


 やっと暗くなり、白装束の人が搾精(さくせい)で使う射薬(しゃやく)(じゅう)みたいなのを持ってきてレイニ様の肩に()つ。


 なんかボクまで()たれた。


 ミヤビ様は横になったレイニ様をはだけ愛撫(あいぶ)していく。レイニ様にミヤビ様が(また)がって始まる。


 それを見てたらボクももやもやしてきた。あの注射のせいで下半身が怒張(どちょう)してくるし。


 お二人は普通スタイルでよかった。……と思ってたら、攻守交代とばかりに起きあがって上下が替わる。


 一気に目が覚め、お二人に布団を掛け直す。衝立の向こうに丸見えですよ。


 まあ……(はげ)しい。声も大きい。となりで寝てなんかいられない。マキナとボクはもっと静かにやってましたよ?


「はぁはぁ……はぁ~。どうじゃ? 流れるような絶技(ぜつぎ)は」

「す、(すご)いですね。あと(﹅﹅)はよく眠れそうです」


 すみません、うちではそんなことやってらんない。ボクたち、なんかだらだらやって寝落ちパターンでした。


「では、交代。そなたの番じゃ」

「え~~? ボク、静かな方がいいかな~、なんて……」

「まあ、初めてでは仕方なかろう。今日のところは茶臼(ちゃうす)からじゃの~?」

「うむ」

「茶臼って? いや、やっぱりいいです……」


 つい()こうとしたけど、ろくでもない説明を聞かされるんだろう。交代する際、レイニ様の分身見ちゃったよ。人のものを見るのは初めて。



 横になるボクにミヤビ様が(おお)いかぶさってくる。ボクはそれを受け入れる。


「うっ……くっ……」


 (おだ)やかに始まってよかった……と思ったけど、なんか様子が変。


「ど、どうされた、ハノリ様?」

「も、もう……し……しむ……」

「は?」


 ぶるるっと(ふる)えたミヤビ様が脱力(だつりょく)して(たお)れてくる。おっぱいで窒息(ちっそく)するかと思ったよ。


「もう、()てられたようですよ?」

「なんじゃと?」

「ではボクも……ふ~~。お休みなさい」

「これ、寝るな」


 ()まった欲望(よくぼう)をミヤビ様の中に解き放つ。すっきりすると眠くなるのが習慣になっちゃってるな。



「──おしっこ」


 夜中に目が覚める。まとわりつかれて重いと思ったらミヤビ様とレイニ様が抱きついていた。


 二人を振り(ほど)いてベッドから降り、応接室に併設(へいせつ)するトイレに向かう。


 寝室にはまだ衝立(ついたて)()えてある。もう誰も居ないだろう。通り過ぎる(さい)に確認したら裏側に白装束の人がまだいた。


 ──こっわ!


御不浄(ごふじょう)ですか?」

「ええ、まあ」


 リビングに入るとソファーのところに起きてる人と雑魚寝(ざこね)の人が居る。お(つか)れ様です。


「キョウ様が、御不浄だ」

(うけたまわ)った」


 後ろの白い人から起きてる人に伝えられる。交代してリビングの人がトイレに付いてくる。


 いや、一人で行けるから。幼児じゃないから……。


 そう言や、マナちゃんアリサちゃんは、おトイレ一人で行けてるかな~? タンポポちゃんは大丈夫だろうけど。


 案の定、トイレの中まで白い人は入ってくる。見てはこないけど、人がいると出るものも引っ込むってものよ。


「あの、どちらへ?」

 トイレをすませ、部屋を出ようとすると白い人が()いてくる。


「ちょっと子供たちが心配で……」

「子供?」

「あ、いや。お世話してる喜多村の子たち」

「……はぁ?」


 エレベーターで二階に降り、タンポポちゃんの部屋に行く。そおっと部屋に入ってベッドを見ると三人そろって眠ってる。ほっ……。


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