第2話 暗躍する者と特別な力(追放側視点)
トーマをパーティーから追放したバイス達は酒場で酒を飲み交わしながら雑談をしていた。
「かーっ、今日は酒が美味いぜ!」
「そうね、レベル100の癖してレベル20のバイスと同じステータスなんてね!」
「伸び代無さすぎだよね〜。」
「そうですよ、レベル50のアタシ達の方が優れてますもの!」
セーナの言う様にトーマの能力値らバランス良く上がっておりレベル100の限界値に達した事でこれ以上能力があがらない。 そして剣聖のリアラの攻撃力はパーティーの中でも郡を抜いて賢者のコルトは魔法に関する魔力が突き抜け聖女のセーナは一人しか小回復出来ない筈の初級魔法ナオーレで全員を完全回復出来る。
「まあ、そう言ってやるなよ勇者のオレと比べたら可哀想だろ? なんたって選ばれし者なんだからな!」
「ところで、魔王討伐には行かないの?」
「確か今封印されてるんだよね〜。」
「まだ早いな、この聖剣は魔王が復活した時じゃないと抜けない様になっているのでな。 ま、こっちの武器でも十分だし今は一時の平和を満喫しようじゃないか。」
酒場で料理を食べ終え酒に酔ってフラフラになったコルトを背負い、会計を済ませると四人で宿屋の一室に泊まる。
「大丈夫かコルト? お前飲みすぎだ。」
「ら〜いじょ〜ぶ〜。」
「ほら水飲みなさい。」
「もう、やっと邪魔者が居なくなったんだから心置きなくヤれるのですからしっかりしなさいね、勇者様?」
「ああ、分かってるさ今日は三人同時に抱いてやるよ!」
「「「きゃあ〜♡」」」
バイスはベッドに座ると徐に服を脱ぎ下着姿になった三人に服を脱がされていく。
「じゃあバンザイして。」
「はいバンザーイ。」
「こっちはボクが脱がせるね〜。」
両手を上げたバイスの服をリアラとセーナは脱がせて床へと放り、コルトはズボンをカチャカチャと音を鳴らして引き下げるとバイスはリアラとセーナの腰に手を回し後ろ向きにベッドへ倒れ込み、そこへシャツを脱いだコルトが馬乗になりキスをする。
「あ、コルト先にズルい!」
「アタシもキスしたいのに!」
「早いもん勝ち〜♡」
「落ち着けよ、これから気持ち良くなろうって時に喧嘩するもんじゃないぜ?」
ドタッ……
「え、何今の音!?」
「まさか天井に誰か居る〜?」
「やーね、何処の変態よ!!」
「人じゃねーみたいだな、ネズミだろ。」
「そんな事まで解るの!!」
「人なら息の漏れ方で直ぐに解るからな。」
「さっすが〜。」
「続き始めましょうか♡」
三人は裸になるとバイスを敷布に寝かせ布団で覆い被さり、ゆっくりと吐息を漏らしていたが段々と行為が激しくなっていき三人の高い声が部屋中に響き渡り一、二時間経った頃にはバイス以外の三人は全身から汗が流れておりバイスに抱かれながら就寝する。
「はぁ……はぁ……もうダメ…………♡」
「今日も……激し……かった〜……♡」
「すごく……気持ち良かった……♡」
「何だ、もう限界か? 仕方ないなオレはまだまだヤり足りないがあまり遅くまで起きるのも身体に悪いか……おやすみ。」
「「「おやすみなさい♡」」」
「…………。」
(そろそろ、この女共にも飽きてきたな。 幾ら美人揃いとはいえ、何度も身体を重ねる内に他の女の味が恋しくなるな。)
バイスは三人が完全に寝たのを見計らい、荷物から“時忘れの砂時計”と呼ばれる道具を取り出す。
(さて、この砂時計でオレとの記憶を綺麗サッパリ消させてもらおうかな?)
「この辺に置けば良いか、オレとの記憶を忘れな!」
そう言い砂時計をベッドの近くに置き、宿屋の店主に支払いを済ませ足早に宿屋から離れる。
(これで勇者のオレの子を妊娠する三人の女を見れないのは残念だが、次は良いとこのお嬢様でも狙ってみるか!)
その一方でエストランゼ城内ではクラウディーテ姫が城から居なくなっている事で騒ぎになっていた。
「国王陛下! 大変ですクラウディーテ姫が城内の何処にも居ません!!」
「何だと! しっかり探したのかビルド!!」
「そう慌てるでない、何時もの事であろう。」
「そうは言いますが。」
「分かった、総力を上げてクラウディーテ姫の捜索を大臣の私が許可しよう!」
「何もそこまでせんでも。」
「いいえ国王陛下、姫様にもしもの事があれば国の一大事! 愛の力、ラブパワーを扱える者は姫様以外に存在しません!!」
「その通りですぞ、100年に一度勇者が現れ魔王を封印する事をお忘れでは無いですか? 今回は魔王の復活が遅れている事が幸いし平和が続いておりますが、研究の結果クラウディーテ姫様の持つ愛の力“ラブパワー”と共鳴する者が現れれば幾年にも続いた魔王の封印から討伐にシフトチェンジする事が可能になるかも知れぬのですぞ?」
「大臣よ、お主の話しは相変わらず長いのう。」
「国王陛下、無礼を承知で語りますが魔族共は今この時も“エロパワー”なる巫山戯た力を集めております! その力はラブパワーと匹敵する程、もし魔王が復活してしまっては弱体化している魔族は勿論のこと通常の三倍どころか三千倍ものパワーアップをしかねません!!」
「分かった分かった、我が娘の捜索を任せよう。 頼んだぞビルド。」
「はっ!」
ビルドは一礼すると直ぐに城内の兵士を集めクラウディーテ姫の捜索隊を結成し、馬を連れて城から街へと捜索に出発する。
「では、私も書類に目を通さねばならないので書斎に戻りますね。」
そう言うと大臣は国王陛下に一礼し書斎部屋まで歩いて行く。
「…………。」
(はぁ……、大臣が偽物と気付いておるのはワシと娘だけか。 奴の正体にはまだ気付かないフリをせねば国民に被害がでかねんからのう。 我が愛娘クラウディーテよ、ラブパワーの適合者を捜し魔族に一泡吹かせてやるのだぞ!)
その頃、書斎では大臣がドアに鍵を掛け周囲に誰も居ないか確認し眼鏡をクイッとあげた後に手でパンパンと音を鳴らすと物陰から背にピンク色のエネルギーの溜まった水晶を背負ったネズミが現れる。
「ワルーサ様、お呼びで?」
「ああ、こっちは先手を打たれたな。 そっちはどうだ?」
「こいつを見てくだせえよ、こんなに簡単にエロパワーを集められる人間を発見しやしたぜ!」
「ほう、これ程のエネルギーは何日かけて集めたのだ?」
「聴いたら驚きやすぜ、あの忌々しい勇者の一族からたったの一夜で水晶をエロパワーで満タンになりやしたよ!!」
「なんと! そいつは良い、くく……まさか勇者自ら墓穴を掘り我ら魔族に貢献してくれるとはな! 引き続き勇者の動向を偵察しながらついでにエロパワーの収集を頼んだぞ!!」
「了解!」
ネズミからエロパワーの水晶を手にした大臣はその力を全て吸い取り一瞬だけ膂力の有り余る筋肉質な身体に変化し元に戻る。
「これは良い! 私の様な弱小魔族ですら一瞬にして上級魔族を軽く超える程の力、これ程のパワーアップが出来るのなら魔王様が復活した時には勇者ですら蹂躪できそうだな! ククク、アーハッハッハッハッ」
魔族側(ラブパワーて何だよ……)
人間側(エロパワーて何だよ……)