プロローグ
「青春」
それは人生の中で唯一、制限時間が設けられていて、あっという間に過ぎ去っていき、二度と戻ってこないもの。
そして誰も正解、不正解を知らない。
いや、そもそも正解、不正解というものが存在しない。青と言っているくせして、実に曖昧な色をしている。
そんな理不尽で不確かな存在なくせして、人生の中で全てとまではいかないが、大きなターニングポイントだということは自明の理だ。
何故ならタイムリープ出来たとしてどこに戻りたいと聞かれたら、ほとんどの人が青春時代というし、高校デビューという言葉があるように、高校生活から本格的に自分自身と向き合い、自分自身の無力差に気が付いて、ボコボコに殴られながらも、今まで床で不貞寝していたジグソーパズルを必死で組み立てようとする。
しかし大概の人はそのパズルを完成させることなく、
まぁ、こんなものでしょう。
と嘘とでまではいかないが、心にもないことを吐かせて、不完全燃焼のまま青春を終わらせる。
だから、青春を完全に攻略して、その後の人生で自分自身の立ち位置になんら、不満を抱かせない。
パーフェクトスクールライフ。
そんなものは妄想なのかもしれないと少なくとも、二十五歳独身、彼女なしの蒼砥輪は思っていた。