エピローグ
「ねぇ、昨日の夜幽霊団地で火事があったらしいわよ」
「えっ……?」
喫茶店で2人の少女が会話をしていた。
ツインテールの少女が、スマホに表示された記事を見せる。
その記事を見て、長髪の少女は目を丸くする。
「幽霊団地が……?」
「何か、めっちゃ凄い火事だったみたいよ。特に廃マンションが酷かったとか。燃えやすいものが多かったみたいね」
「……」
「それだけじゃなくて、あたしらと同じくらいの子達も巻き込まれたんだって。神凪高校で起きてた事件と関係あるとかで。警察は今、捜査とか事実確認とかで大変みたいね」
「……」
「……ん?聞いてる?……お〜い、アオ〜?」
ツインテールの少女に応えることなく、長髪の少女は窓の外を見つめていた。
その方向は、幽霊団地がある方だった。
片桐は病院の屋上のベンチに座り、コーヒーを飲んでいた。
万桜と接触し大怪我をしていたものの、今は松葉杖で歩けるようになるまで回復していた。
外の様子を見て、ただボーッとしている。
その先には、幽霊団地があった。
「ここに居ましたか、片桐さん」
「……日之道か」
日之道と呼ばれた男が、片桐の傍へ歩いてきた。
彼もまた、片桐と同じ特務課の刑事だ。
日之道は片桐の隣に座った。
「どうですか?体の方は」
「まぁ、入院直後に比べりゃ楽だな。脚さえ治りゃあ仕事に戻れる」
「そうですか。そりゃあ良かった」
日之道はそう言って笑うが、すぐに溜息を吐いた。
片桐もコーヒーを一口飲む。
2人共、考えていることは同じだった。
「……雪村達は?」
「……死亡が確認されました。それと、神凪高校2年3組の生徒達……それに何故か指名手配の魚沼宣雄まで。死体は全て燃え、あの団地で何が起こっていたのか……」
「今となっては解らないってか……」
「ですね。……まさか自分が別件引き受けてる間に、こんなことになってたとは……」
日之道もまた、やるせない気持ちで幽霊団地の方を見つめた。
今回の事件で、生徒達も、仲間の刑事も失った。
生徒達に関しては、自身らの無力さが原因で犠牲となったと言っても過言ではない。
雪村のことも、後輩として可愛がっていたが、最期を看取ることさえできなかった。
この幽霊団地の火災までに、多くの犠牲が出たのだった。
「まぁ、油断はできませんね」
日之道はベンチから立ち上がった。
「まだ脅威は去ったと決まった訳ではないんでね。怪異による被害を抑えるために俺達は居る。そうでしょう?」
「その通りだ。ここで止まっちまったら雪村にブチ切れられるだろうからなぁ。早いとこ仕事に戻らんとな!」
怪異による被害が全て治まったわけではない。
2人は自身の立ち位置を再確認した。
死者25名。
行方不明者10名。
生存が確認されている3名は、精神科での治療を余儀なくされている。
万桜の死から始まり、生徒全員に被害が及んだこの事件は『2の3怪事件』と称され、世間に衝撃を与えた。
多くのメディアで取り上げられ、実に1ヶ月以上もの間盛り上がった。
事件の謎を解こうと動く者も何人か現れたが、不可解な点があまりにも多かったため、完全に真相を突き止めた者は居なかった。
これ以降似たような事件が起きることもなく、特務課も万桜の存在を確認することができなかったため、最も詳しい筈の警察も頭を悩ませていた。
あの夜の幽霊団地で、いったい何が起こったのか。
今となっては、里桜達にしか解らない。
ここまで読んで頂きありがとうございます。正直前作と比べて、期間が空いたり、グダグダでガバガバなシーンが多かった気がします(汗)。力不足な点がかなり目立ったと思いますが、無事に完結させられて何よりです。それではまたどこかで($・・)/~~~




