表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八百万 怨念  作者: マー・TY
34/70

32.グループ通話の話

 想と知基が始めたグループ通話。

 何故このタイミングで始めたのか、恭也には理解できなかった。

 ただ、この通話で他のクラスメイトの今後の動きが解りそうだった。

 そのため恭也は、この通話に参加した。


『あっ、恭也君』


『恭也君、こんにちは。ご参加嬉しい限りです』


 先に居た2人はカメラ機能をオンにしていたため、顔が見えていた。

 知基は笑顔で両手を振って出迎え、想も微笑みながらお辞儀をした。


「や、やぁ2人とも」


『来てくれて嬉しいよ』


『僕達2人だけというのも寂しいですからね』


『やっほー3人とも!』


『『『!?』』』


 突然聞こえてきた、明るい少女の声。

 スマホには4つ目のカメラが表示されており、そこに手を振る朱莉と緊張した面持ちの里桜が映し出されていた。


『朱莉さん……と、里桜さん!?』


『こ、こんにちは』


「えっ?何で2人は一緒に居るの?」


『今里桜と一緒に勉強会しとったんよ』


『で、何かグループ通話始まってたから、朱莉が一緒に入ろうってなって……』


『今に至るってわけやね!てか恭也、顔出さへんの?』


「えっ?あぁ……」


 通話に参加して以来、恭也だけはカメラをオフにしているため、顔が映っていない。

 恭也はふと横に居る万桜に視線を向けた。

 気を遣ったのか、万桜は妖しく微笑み姿を消した。

 恭也はカメラをオンにし、自分の顔を晒した。


「映ってる?」


『ばっちりやで!』


 朱莉がグッドサインを出す。

 するとこのタイミングでまた1人、通話に参加してきた。


『あっ……こんにちは………』


『お~!好実も来た!』


『千枝さんこんにちは~』


 朱莉や知基が、入ってきた気の弱そうな少女を出迎える。

 出席番号17番千枝好実。

 顔は良いが、性格のせいであまり目立たない生徒だ。


『久しぶりやな、好実』


『うん……。ねぇ…どうして集まってるの?』


『そうですね……。少し今起きていることについて話し合いたいと思いまして』


 想は眼鏡を上げ、全員に言い聞かせた。


『3日前の爆破事件にて、多くのクラスメイトがお亡くなりになりましたが、異変はそれ以前から起きていたように思えます』


「それ以前って?」


『万桜さんが亡くなってから、その約一週間後辺りから、栄太君や早苗さん含め、12人のクラスメイトが順に不登校になっていきました』


『そう言われれば……せやな………』


 恭也は冷や汗を掻く。

 想と知基は、クラスで起こっている異変に気づいていたようだ。

 この真剣な雰囲気が伝わったのか、朱莉が口を開く。

 先程の明るさは、もうどこかにいっていた。


『ウチらのクラスでの爆破といい、その12人のことといい……。今生き残っとる誰かの仕業かもしれへんよな?警察も疑うてるし』


『朱莉……』


『だってそうやろ里桜。じゃなきゃウチらのクラスばっか狙われへんし』


『確かにそう思うのが自然かもしれませんね。ですが……僕達の考えは少し違います』


 朱莉が熱くなっているところで、想が口を挟んできた。

 知基もまた、頷いている。


『少し違うってどういうことなん?』


『僕達のクラスにここまでできる生徒……というか、人がいるとは思えないんですよね』


『爆弾なら頑張れば作れそうな気がするけど……』


『確かに爆弾ならそうかもしれません。ですが問題はそれ以前に被害に遭った生徒達なんですよね』


「あの12人が、どうかしたの?」


 恭也は試すつもりで、想に訊いた。


『被害に遭った生徒に直接会う方が早いと思いまして、事前に彼らを訪ねてみたんです。ただ、栄太君、卓君、鳴海さん、萌花さん、由美さん、信吾君、竜平君、早苗さん、純君、孝君の10人は行方不明でしたので、実際に会えたのは太一君と心愛さんだけでした』


「……2人だけ……か」


『はい。まずは太一君です。彼は暗い自室に籠もり、毛布に包まって何かに脅えている様子でした。声を掛けると、「見るな!」と何度も叫んだため、それ以上の接触は不可能でした。太一君のお母様によると、どうやら彼はたくさんの目に見られているようです』


『目…?』


「目?……幻覚でも見えてるのかな?」


 恭也は考えるふりをしながら、顎に手を置いた。

 万桜が太一に呪いをかけたことを、本当は知っている。


『………えっと、心愛の方はどうやったの?』


『心愛さんもまた、部屋に籠もっている状態でした。しかし、太一君とは大きく違いました。ドアの隙間から覗いたのですが、心愛さんは……その………』


『……想?』


『……心愛さんは……言葉で表すには難しい程惨い状態になっていました。彼女の親御さんも、それに脅えているご様子でした』


 心愛の状態を思い出したのか、想の顔色は悪くなっていた。

 知基は俯き、朱莉と里桜は浮かない顔を見合わせ、好実は戸惑っている。

 沈黙に包まれているこの場を、恭也は冷めた目で見つめていた。

 心愛のことは、既に万桜から聞いている。

 聞いたうえで、だから何だとしか思えなかった。

 強いて言うなら、万桜の声が心地良いとしか感じなかった。

 この空気を打ち消したいと思ったのか、今度は知基が口を開いた。


『気になることはまだあるんだ。勇二君と雄大君のことなんだよね』


『……その2人がどうかしたん?』


『勇二君はあの日出欠になっていたのに、爆発に巻き込まれてる。爆発直前に来たんだと思うけど、その理由が解らない。雄大君に関しては死因は爆発じゃないらしいし……』


『……アタシ、雄大が死ぬところ見た』


 ここで里桜が発言する。

 知基は喰い気味で里桜に問うた。


『その時のこと、話せる?』


『……アタシあの時雄大に責められてて…。それが悪化して雄大が首絞めてきたんだ。殺されるかと思ったけど、気づいた時には雄大は死んでて、近くにバケツが転がってた』


『何者かが上から雄大君にバケツを落としたということですか……』


 眼鏡を弄りながら、想も話に乗ってきた。

 朱莉も里桜を横目で見つめていた。

 雄大の話題になり、恭也は少し身構えた。

 そもそも雄大を殺したのは、恭也自身なのだ。


『地面が塗れてたから、水も入ってたんだと思う』


『完全に殺す気だったみたいだね』


『誰にも見られずに水入りのバケツを落とすとすれば、トイレからでしょうか。里桜さん、犯人の顔を見ましたか?』


『ごめん、見えなかった』


『そうですか……。見えていたら大きかったのですが……。雄大君なら誰かの恨みを買っていてもおかしくないですが……果たして………』


 ここまで語ったところで、想はハッとした。

 それから話を元に戻した。


『少し脱線してしまいましたね。雄大君のケースは人によるものの可能性が高いですが、太一君や心愛さんのあの状態は…人によるものとは思えないんです。行方不明の10人にも同じことが言えます』


『人によるものやあれへん……って言うと?』


『僕自身、馬鹿な話だと思うのですが────』


『何を話してるんだ愚民どもーーーー!!!』


 突然聞こえてきた大声が、想の話を遮った。

 その場の全員が、新たに表示されたカメラに注目した。

 通話に入ったきたのは、十海人だった。

千枝好実ちえだこのみ

顔は良いがあまり目立たない。泣き虫。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ