ヒロイン乗っ取られる
私は、結局、入学から約2ヶ月、影に情報収集を頼み、静観していた。
入学2日目から、ジャスミン伯爵令嬢はアーサー王子と毎日欠かさずランチを共にしていた。
1ヶ月過ぎた頃には、攻略対象である令息達も集まり始め、ジャスミン伯爵令嬢はハイクラスのグループの中心にいた。まるでヒロインのように。
始めの1ヶ月は、私の事をかなり意識していたようで、自分の行動が私にどう影響が出るのか?探り探りの様子だったが、私は何もしなかったので、2ヶ月目には、周りを気にせず堂々と私の代わりにヒロインとなっていた。
そして、悪役令嬢であるマリアンヌ公爵令嬢は、始めは少し咎めるような事を言ったものの、意味がないと判断したのか、違う場所で他の令嬢達とランチを食べるようになった。
ジャスミン嬢は、もうこの学園での噂の的だ。
マリアンヌ嬢に代わり、アーサー王子の婚約者になるのでは?とまで噂されている。
ただ、不思議な事は、アーサー王子はジャスミン嬢を拒否してはいないが、好意的ではないようだった。
貼り付いた笑顔を浮かべてはいるが、あれは社交辞令の微笑みだ。あの裏の気持ちは私にも読めない。
ジャスミン嬢はそれを分かってるのか?わからないが、そんな風のアーサー王子でも上目遣いでアーサー王子をうるうると見つめているので、ジャスミン嬢はスゴイなぁ。と思う。
このままでは、悪役令嬢を助ける以前に、ヒロインの立場を乗っ取られますね。汗
私も、黙ってはいられない。