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第3話 姫 錬金術師に預けられる

「全く……お前の顔を知っていた憲兵が居たから、良かったものの……」

「姫様!! 危うく殺されるところでしたぞ!!」


厳重な監視のもとに

王と大臣の前に引っ張ってこられたダイヤは、どこか遠いところを見つめていた。


「外出は禁止だと、何度言ったらわかるのだ、シールはどうした、シールは」


ダイヤはシールをぽいっと床に投げ捨てる。王はため息を付いた。


「また魔法か……おまえの魔法は卓越している、しかしその使い方を誤っては意味がない」

「孤児院を統廃合して崩壊させることが正しい魔法の使いみちですか」

「ひ、姫様……! それは私の」

「良い、大臣。」


王が制した


「おまえもこれでわかっただろう、人、もとい知性あるものは、救っても救いきれぬ。

 何故なら、知性があるそれこそ呪いだからだ。知性ゆえに我々は苦しむのだ」

「もう考えるなと」

「出来ればそうして貰いたいがね」


フン。とダイヤは王を嘲笑した。王の間がどよめく。


王は手を叩き、ダイヤ付きの執事を呼んだ

「クラバス」

「はい、いかが致しましょう」

「『アレ』に連絡をしろ。明日中に着かせると。計画を実行する。」

「はい、かしこまりました。」


執事のクラバスは、ダイヤの前にかしづく

「ダイヤモンド姫、お出かけの準備をいたしましょう」

「は? お出かけ?」

「お前には、少々贅沢をさせすぎたようだ」


王はマントを翻し、王座の間を出ていく


「せいぜい学ぶが良い」

「どこでです?」


王は行ってしまった。そして、ダイヤはクラバスに手を引かれ部屋に行く。

部屋にはすでに何人ものメイドがおり、支度をしていた。


「あの、クラバス?」

「はい」

「何の支度?」

「……これから馬車に乗ります」


ああ、ついに捨てられちゃうのかぁ……そう覚悟したような顔のダイヤに、クラバスは微笑んだ。


「ご安心ください。姫様には、居心地のいい場所になるかと、私は思いましたよ」

「居心地のいい場所……?」

「はい。馬車で1日程かかりますが……退屈でしょうか」

「いや……楽しみですわ」


オホホホ! ダイヤはわざと、父親が見ているのを知っていて笑ってみせた。



長い長い馬車の旅。

しかし、ダイヤはその1日後、こう言うことになった。


「なんなの、ここ?!」


そこは、明らかな「小屋」だった。もう、ちょっと大きい丸太小屋だと言ってもいいまである。

なんだかよくわからない森のなかにある、明らかな丸太小屋だ。


「おいおいおいおい……クラバス、ここはどこ?!」

「姫様……言葉遣いにはお気をつけください。錬金術師、グラン・デディ氏の邸宅でございます」


邸宅……? いや、ここどう見ても小屋。

そんなダイヤを尻目に、ドアがギシギシと嫌な音を立てながら開く。

薬臭い匂いとともに、背の高い一人の男が現れた。


「なんだ、テレポ電話した割には遅かったじゃないか」


年の頃二十代後半くらいの人間に見えるその男は、へっと笑う


「そんな荷物、うちには入らないから持ってかえれよな!」

「了解いたしました、デディ様。」


「だれこの人」

「王室認定 上級錬金術師 グラン・デディ様です。」

「はあー?!」


大声を上げるダイヤ、そういえばどーりで今日は割と軽装だと思った!

デディはワハハと笑い、クラバスは言葉遣いをたしなめる


「ちょっとまって、ちょっとまってくれ」

「姫様、言葉遣いを」

「まあ、入って茶でも飲みなよ。クラバスもどうだい?」

「私は王から、帰還命令を頂いておりますので」


へ……? 固まるダイヤに、クラバスは言った


「それでは姫様、また『ほとぼりが冷めましたら』お迎えに参ります」


へえー?! 

そう、ダイヤが思っているうちにクラバスはさっそうと馬車に乗って走り去ってしまう。

後には、錬金術師グラン・デディと姫君、ダイヤだけ。


そこに、無神経なピー! という音が響いた


「あ、お湯沸いたわ~」


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