第2話 姫 連行される
「やめてぇ!! あたしたちじゃないよぉ!!」
「うるさい!! どうせお前たちに決まっているだろう!!」
見ると、大通りで捕物が始まっている、
浮浪児の子どもたちが、太った腹の商人にひっぱられているではないか
「憲兵さん! こいつらが王家のリンゴを盗んだんです!! 間違い有りません!!」
「本当か」
「こいつらは窃盗の常習犯なんですよ!」
よく見ると、先程の浮浪児の子どもたちだった、そのボロ布のような服のポケットからリンゴが転がり落ちる、ああ、しまった……! ダイヤは真っ青になって人混みをかき分け始める
「この子どもたちを捕まえちまってください! どうせ居ても居なくても同じですから!!」
なんてことを……! 殺されるんだぞ……!
と、聴衆がどよめくが、商人はそんな彼らを怒鳴りつける
「黙れ!! 私も生きるためにやっているんだ!! こっちが首を飛ばされるのが、わからんのか!!」
その言葉に、誰も言い返せない。ただ、ダイヤだけが躍り出て、そして荒い息をついていた
「だ、誰だ貴様は?!」
驚く憲兵、商人を横目に、浮浪児の子どもは逃げていく。
ダイヤはそんな彼らを追いかけようとする商人の首根っこを掴んで引き止める
「あたしが盗みました」
「やめっ……な、なんだって?!」
「あたしがリンゴ、盗んで、あの子達にあげようとしました」
憲兵がダイヤの前に立ちふさがって、問いただす
「それは本当なのか」
「そうです。あたしがあの子達を可愛そうだと思って、盗みました。」
聴衆がどよめく、商人が喚く
「な、何故そんなことを!」
「理由があるなら、あたしがききたいよ」
そう吐き捨てると、
ダイヤは、憲兵の追求するような視線から逃れるように、自らの腕を差し出した
「いいから、早く連れて行って」
「ということは、今までの事はすべてお前のせいだったのか?!」
「そうよ……」
商人がまたああだこうだ言う前に、憲兵がガチャンと手枷をダイヤの腕につけた。
聴衆も、商人も黙り、しんと静まる。
「来い。審問所まで連行する。商人、おまえはもういいだろう」
「は、はあ……」
そうして、憲兵が歩き出す。ダイヤの細い腕に、鎖と手枷は重くのしかかった。