第0話 姫 転生する
巨大な中指は、頭の中に話しかけてきた。
「おまえのその度胸、気に入った」
進は、ビックリしたが、一番ビックリしているのは運の女神のようだった。
「中指の神?! あなた、どどどうして」
「焼野原進、おまえの願い、私が変わりに叶えてやろう」
「そんな、では、この者には強大すぎる力が……!!」
「良い。この者の夢とやら、私も見てみたい」
いったい何の話をしているんだ……?
進がいぶかしんでいると、中指の後光、後ろに指す激しい七色がさらに激しくなる
ああ、これどこかで見たことあるぞ、そう思う彼女に、
天の川から中指の神は優しく話しかけた。
『なるほど。夢はあるが、それを叶える力がないのか』
「そうでもないですから! お願いだから余計なことしないでぇ!!」
恐怖を感じて叫ぶ進に、中指の神は容赦ない
『遠慮するな 今日はおごりだ』
おごり?! どいつもこいつもどうしてこんなにノリが軽いんだ?!
おごりって何だ?!
『そなたに力を授けよう、せいぜい上手く使ってみせるが良い、焼野原進!!』
光は激しくなった、そしていつしか進は、
万華鏡の中をぐるぐると落ちていく
「ゔぁ~~~~~!!? や~~~~~め~~~~~~てぇえぇぇ~~~~~!!」
それからのことを、進はよく覚えていない。
ただひとつ、目が開くようになってわかったこと。それは
自分がどこかの世界、どこかの国のお姫様になってしまったらしい、ということだった。