00-2 運の女神
「進……進……! 目覚めるのです……!」
声がした。焼野原進は目をこすった。やけにカラフルな夢を見ていた気がする。
なんか、万華鏡のようにカラフル~な夢だった。
何だったんだろう。
目を開けて、彼女は驚いた。
あたり一面、ふわふわのちょっと金色っぽい綿菓子みたいなふわふわで満ちていて、
天井には息を呑むほど美しい、パープリーな天の川が広がっている。
見ると足元には星屑みたいなのが落ちていて、そこかしこが宝石みたいにキラキラしている。
ここはどこ? 少なくともあのボロアパートではない!
進はパニックになりかけるが、ふと起き上がって気づいた。
手が透けていた。
「目覚めたのですね……」
ふと振り返ると、そこにはものすごく美しい女神……としか言いようがないような格好をした女性が立っていた。
彼女は慈愛に満ちたほほ笑みを浮かべており、そしてそっと進にカードを差し出した
「わたくし、運の女神と申しますわ」
は? 思わず受け取ってしまったカードを見ると、そこにはきれいな字で
『運の女神です よろしく~^^b』
とか書かれている。意味がわからない。顔文字のチョイスが古い……ノリが軽い……
混乱する進の前で、運の女神はほほ笑みを浮かべたまま言った
「残念ですが、あなたは死んでしまいました」
「は?」
「いや、は? じゃなくて、死んじゃったんですよ~^^」
「いや、ですよ~^^ じゃないでしょ、何やらかしてくれてるんですか?!
え?! 私がやらかしたのか?? いや、誰がやらかしたんだ?!」
「オホホホホ」
「運……運ってこと?! 運がなかったってこと?!」
女神はオホホホとお茶目に笑っている、いや、冗談ではない、
進は怒りでどうにかなりそうになっていた。
だって、あれほど頑張っていたのに、とか、いやそういう前に問題が多すぎる
問題が多すぎて逆に怒り心頭している……!?
さらに混乱する進の前で、女神はさらにとんでもないことを言い出した
「まあ、人生なんて運が9割ですから♫ たまたまアパートが倒壊したって仕方ないですよ♫」
「うちのアパート倒壊したんですか?! 地震?!」
「いえ、あなたのお家だけです♫」
「あ、私だけ……ふーん……なんかすっごくフクザツ」
運の女神は、うふふと笑い、なんだかとっておきをしたくてたまらないという顔をし始める
「な、なんですかその顔は」
「ウフフ! 実は、女神様からのチャンスが、進にはあるのですよ~!」
ぱんぱかぱっぱぱーん! という、謎の音と、ショボいクラッカーが破裂した。