3章節目 〜わたし達にできること〜
6時限目が終わり、生徒が各々部活に行こうとしたり、帰路に着こうとしている中祐美が口を開く。
「みんな、ちょっと良いかな? 廃校の話は聞いたよね? 私、みんなと離れ離れになっちゃうのは嫌だよ……。だから、何か私達で出来ることは無いかな?」
生徒が口々に呟く。
「でも、それってもう決まった事なんでしょ?」
「先生達も廃校にならないようにって色々してくれたみたいだし、子供の私達には出来ることは無いと思うな。」
「確かにこの学校がなくなっちゃうのは嫌だけど……。」
やはり消極的な生徒が多い。
しかしその中にも前向きな生徒は少なからずいた。
「何かやるって例えば?」
「生徒でアイドルグループを作って有名になるのは?」
「それはもう他でやってるよ……。」
「甲子園に行って有名になるのは?」
「野球部9人しかいないんだぞ、無理に決まってんだろ。」
「じゃあこれは? 」
「こんなのは?」
「無理だよ。」
「現実的じゃ無いよね……。」
様々な意見が飛び交う中、1人の生徒が口を開く。
「甲子園って言えばさ、こんなのが有るらしいよ。」
その生徒がスマートフォンで見ていたのは、昨年のバンド甲子園の記事だった。
「学校で1つバンドを作って作詞作曲して演奏するんだってさ。優勝賞金100万円と、メジャーデビューと……、あと翌年の開催地が優勝校のグラウンドになるんだって!」
「それだぁぁぁ! それだよ! 優勝すれば学校を知ってもらえるし、翌年の開催地になるなら廃校には出来ないよね!」
祐美がそう言うと、6時限目が終わったら1組にくるように言われていた誠が口を開く。
「でも祐美ちゃん、それこそ無謀じゃない?」
周りの生徒も、うんうんと頷いている。
「音楽だとさ、スポーツみたいに1年じゃどうしようもないって事も無いと思うし、凄い頑張ればなんとかなる気がしない!? それに私、ちょっと心当たりあるし!」
「心当たり?」
誠は何か面倒事に巻き込まれる気がした。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
次回も頑張って書くので評価等お願いします。