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しもべたちは、鬼瓦が借りている消費者金融へと案内してくれた。
俺は、従業員に顔を覚えられたくないためマスクを付け、店内に入った。
「鬼瓦道世を見つけた。身柄を引き渡すから、田辺陽菜の署名の入った書類を返せよ」
まだ気絶しているふたりを従業員の前にごろりと寝転がせると、従業員は何事があったのかと驚いて書類を出してきた。
俺は目の前で粉々に破り捨て、
「ふたりで作った借金だと言ってたから、ふたりから徴収するように。もう、田辺陽菜に関わるな」
と言って睨みつけ、その場を去った。
──これで陽菜は大丈夫なはずだ…
ひと仕事やり終え、緊張の糸が解けたような気分で、俺は空を飛んでいた。
「おまえたちのお陰だ。ありがとうな」
しもべたちに御礼を言うと、しもべたちは嬉しそうに、それぞれの寝床へと姿を消した。
心の綺麗な、可愛いやつらだ。
これで今夜は安心して眠れそうだ。
陽菜に早く伝えてあげなくちゃ。
でも、眠ってたら、起こすのは可哀そうだしなぁ。
マンションへ帰ると、陽菜はまだ起きていた。
ドアが開く音を聞きつけて、玄関まで走ってくる。
「諒ちゃん!大丈夫だった?ケガはない?わたし、心配で…」
「もう解決したから、大丈夫だよ」
「もう解決したの?!」
「鬼瓦さん見つけて、消費者金融に届けてきたから」
「え~~~っ!こんな短時間で?!どうやって?!」
「さぁ~、どうやってかなぁ~?」
そんなこと、言えるわけないだろ?
陽菜姉の、かわいい幼馴染でいたいのに。