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数メートル先で、強面のお兄さんたちの声が聞こえる。
私が見つかるのなんて時間の問題。
捕まったら、どうなるの?
こんなことなら昨夜のうちに録りだめした連続ドラマ見ておくんだった。
今日、食べようと思って残しておいた極美味アイスも食べとくんだったわ。
ああそれから、初恋で幼馴染の諒ちゃんに、もう一度逢いたかったわ。もう何年も逢えてない。
「諒ちゃ~ん…」
「光栄だな」
振り向くと、月光を背に佇む長身のイケメン。甘い笑顔で私を抱き上げた。
「久し振り。陽菜姉」
諒ちゃん…? 諒ちゃんだ~~!
「感動の再会の続きは、また後で。今は逃げるぞ!」
次の瞬間、私たちはビルの屋上に居た。
瞬間移動? イリュージョン?
「なっ、なんで?」
このビル、10階はあると思うんだけど!
「あー…。俺、運動神経良くてさ。まぁ細かいこと気にするな。陽菜、アパートに帰れないだろ?うちに来いよ」




