表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屍者の国  作者: ふるか162号
1章 魔王城再建
7/20

1話 魔王城再建

あと、タイトルを『死者の国』から『屍者の国』に変えます

1章の始まりです。

ここから、本編が始まると思ってください。


 魔王城に残ると決めたのは良いのだが、このまま住むにはいろいろと問題がある。

 まずは、エリアルが話していた一年に一度あるという『襲撃祭』だ。

 このネーミングセンス皆無の悪趣味な祭りは、確実に行われるとのことだ。

 そして、その祭りは二か月後にあるらしい。

 それまでに、俺達も戦う手段を考えなければいけないな。

 魔族は一度でも死ぬと生き返れないことを考えると、前線に出すのは怖い。屍者であるメリア達も死なないとはいえ、所詮は村人だ。戦闘訓練を受けている軍人には勝てないだろう。

 この二か月で鍛えられる奴は鍛えるつもりだが、それでも数が少ないから、相手にもならないだろう。

 現状、戦えるのは俺とベルだけか……。


「ベル、魔族の兵士を募ることは出来ないか?」

「それは無理じゃ。さっきも言っていたじゃろ? 魔族は本来大人しい種族だと」


 確かにな。

 俺が勇者をやっていたときから、城で戦ったのは魔物ばかりだったな。


「じゃあ、どうやって魔王城を守る? 魔物でも解き放つか? それだと、こちらまで危険になる」

「そこはお前の力があるじゃろう?」


 俺の力? あぁ、リッチキングの力か。

 死者を屍者として復活させる。

 ベルは、この状態で生き返った者を、『屍者』と名付けると、ない胸を張っていたな。


「まぁ、その辺りは追々考えよう。それより一番の問題は……」


 この魔王城だ。

 今の魔王城は、俺達が攻め込んだ時よりも荒れていて、とてもじゃないが人の住める環境じゃない。

 とはいえ、魔族のみんながいた地下は……。


「エリアルさん。地下というのはどのくらいの広さがある?」

「地下ですか? それなりの広さはありますが、ここにいる全員となると、少し難しいかもしれませんね」


 ここにいる魔族達は、二十人程度、そして俺達が五十人程度……七十人か……。

 しかし、老人達や男性陣が殺されたことを考えても、数が少なすぎないか? 


「ベル。魔王城という、魔族の本拠地の割には生き残りが少なくないか? いや、七十人も入れない場所に隠れていたことを考えるとな……」

「お前の言いたいことはわかるわい。元々魔族というのは、個体数の少ない種族じゃ。お前達と戦ってた時から、百人いるかどうかだったのじゃ」

 

 だからこそ、俺達と戦った四天王以外は顔を見たこともなかったのか。

 だが、今となってはそのことが逆に良かったかもしれない。そこまで修復を急がなくてもよさそうだ。


「カイル!! 魔王城の建て直しは俺っちに任せろ!!」


 そう言って俺達の前に来たのは、村で唯一の大工さんである『ファベル』さんだ。

 ファベルさんはアロガンシアで大工の修行をした後、向こうの棟梁と喧嘩をして村に戻ってきた。

 村の建物はファベルさんが村人達と協力して建てたものだ。


「ただなぁ。これだけ大人数が住む家となると俺っちだけではキツイな」


 村人もファベルさんに指導して貰えば、簡単な家なら出来るだろうが、お城となると話は別だ。


「そうだなぁ……」

「いっそのこと、アロガンシアの棟梁達を殺して従えてもいいんじゃねぇのか?」


 この人、何を言っているんだ? 棟梁と喧嘩したとはいえ、殺すのを前提に考えちゃダメだろう。元々血の気は多い方だったけど。

 もしかして、屍者になることでその辺の倫理観も無くなっているのか?

 俺がベルの方を向くと「それは良い案じゃ!!」と頷いていた。良くねぇよ。

 

「それは駄目だ。そんなことをしていたら、アロガンシアと同じになってしまう。そういえば亜人に大工作業が得意な種族がいなかったか?」


 俺がそう話すと、エリアルが亜人について教えてくれた。


「あぁ、犬人とドワーフ族ですね。ただし、ドワーフ族は人間を嫌っています。頼むなら犬人が良いんじゃないですかね?」


 犬人とは、犬の顔と尻尾を持つ亜人だ。よく似た魔物の種族に『コボルト』がいるが、あちらは見た目もより魔物っぽい。

 確か、犬人とは勇者として旅をしている時に、世話になったことがある。


 そういえば、あの時もアレスは良い顔をしなかったな。あの時からアレスは亜人を極端に嫌っていた。

 きっと、今も亜人嫌いは直っていないだろう。

 まぁ、そのことは良いとして、犬人は比較的穏やかな性格だから、交渉次第では協力してくれるかもしれない。


 それに比べてドワーフは堅物が多い。

 俺の聖剣はドワーフの鍛冶師、ネーツ作だ。この聖剣を作ってもらった時も、一筋縄ではいかなかった。あの時、ネーツさんが口添えしてくれなかったら、聖剣など持てなかったんだろうな。

 ネーツさんはドワーフの中でも、俺達に良くしてくれていた。あの人に頼み込めば、何とかしてくれるかもしれないな。


「とりあえず、犬人に交渉しに行きたいのだが、ここからだと結構離れているな」

「ていっ!!」

「いたっ!!」


 ぽこんっ!!


 いきなりベルの殴られた。こいついい度胸だな。

 俺はベルの頭を鷲摑みにして、力を籠める。


「みゃああああああああああああ!!」

「おい。どういうつもりだ?」


 力をどんどん強くすると、メリアが俺からベルを取り上げて、抱きしめる。


「ベルちゃん、大丈夫? こらっ、カイルっ!! ベルちゃんが可哀想でしょ!?」

「い、いや、メリア。そいつが俺の頭を殴るからだな……」

「子供のすることでしょ!!」


 メリアさん。そいつはそんななりだが魔王なのだが……ついでに蠅だし。

 しかし、ベルも涙目になっていやがる。マジでムカつくな。


「こんのバカイル!! わしが理由もなくこんな行動をとるわけがなかろうが!!」

「ほぅ。ならば理由を聞こうか?」


 ベルの話では、俺の頭を()()ことで、一時的に俺の魔力の一部を奪うことが出来るそうだ。

 その魔力を使って俺を犬人の集落へと送ってくれようとしたらしい。


 そうだな……、話を聞く限りは、意味のある行動だったのは認めよう。

 しかし、一つだけ腑に落ちないというか、気になることがあった。


「おい。触れるだけでいいはずなのに、お前は俺を殴ったよな? それはどういうことだ?」

「ぎくぅ!!?」


 おい、口で「ぎくぅ」とか言ってんじゃねぇよ。

 もう確信犯じゃねぇか!!


「おい!!」

「う、うるさいのじゃ!! さっさと行けぇ!!」


 ベルはそう言うと、俺に手を翳す。すると俺の体が光り始める。


「て、てめぇ!! 帰ったら話をするからな!!」 


 そして、俺は飛ばされた。

感想やアドバイスなどがあればぜひよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ