そんな君に狩られたい(仮)
それから僕は静かにこう言った。
たぶん僕は自分勝手に絶望していたんだ。愛を与えてもなお僕を本当の意味では救えなかった家族と、僕のことなんて気にもとめない周りの人達と 、そして、たった一人の自身の人生さえ正しく導けなかった"僕自身"に。全部今だからわかることだ。
絶望は僕を無気力にしてさ、自分さえどうでもよくなっちゃったんだ、他人のことみたいに。
気がついたら心が冷めきっていて、ただ熱を求めた 。それで目先のものにばかり飛びついたんだ、将来なんてどうでもいいから。僕は自分が幸せになれるなんて思ってないからさ。
誰かに期待されても応えられないし、誰かを信頼することもできないんだ。
まあ、つまりこんなどうしようもない奴なんだよ。生きるのに向いてないんだ。
ーーじゃあ、私と生きようよーー
ただ涙が止まらなかった。ああ、とっくに前からわかっていたことだが、僕はこの子のことが大好きなんだな。今まで色んなものから逃げてきた。けどこの子からだけは逃げられそうにない。
この時僕はこう思ったんだ、「そんな君に狩られたい」って。