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音ゲーごときでムキにならないでください!!

 神殿に来るのは久しぶりのソル。最近、リアンが病にかかってしまい、しばらく森の守護者の役目を休ませていた。それが復活したので、久しぶりに闇の女神神殿に行くことにしたのだ。

 さてはて、魔王軍の侵攻はどこまで進んだのだろうか、と四天王の間にソルが入ると。

 そこには普通の人間の手より少し大きいくらいの板を叩いたり弾いたりなぞったりしている四天王の姿が。とても慣れた手つきで余裕そうにこなしていくアルシェ、話しながらアルシェの倍速で板を捌いていくシュバリエ、そんな二人に挟まれ、罰の悪そうな顔をしているサージュ……

「な、何事だ……?」

「おっ、アミドソルじゃねえか! ひっさしぶりだなぁ。リアン治ったのか?」

 朗らかに声をかけてきたのはシュバリエである。普通に話しかけてきているが、板の上を走る指の動きがえげつない。

「あ、ああ……リアンは薬嫌がらねえがら、すぐ治っただ」

「当たり前です。私が処方したんですか、らああああああっ!! また逃したあああっ」

「ぷくくー、サージュへたっぴー」

 何故かは知らないが、敵であるはずのリアンに肩入れしている魔王四天王である。が、それよりもサージュがこんな奇声を上げるのは聞いたことがない。絶えず頭痛の種はシュバリエとアルシェから提供されているが、サージュは無言で頭を抱えるタイプである。

 不審に思ったソルが近づくと、ソルが興味を抱いたことに気づいたシュバリエがにかっと笑う。

「最近ノワールが調達してきた遊び道具でな、リズムゲームというらしい。サージュがへたっぴでへたっぴで……ぐくっ、誰にでも苦手なものがあるとは言うが、まさかここまでとは」

「リズムゲームだ? 聞いたごどねえだな」

「んまあ、外界にも吟遊詩人みたいに歌うやつらがいるんだ。まあ、吟遊詩人とはだいぶ毛色が違うんだが……つまり、歌に合わせて画面を弄る遊びってわけだ。面白いぞ。アミドソルもやるか?」

 と言われたが。

 渡された板……スマホと呼ぶらしいそれは通常の人間の倍以上の体格をしているソルにはあまりにも小さかった。過たば握り潰しそうである。

 あせあせとしながら、シュバリエは別の板を出した。スマホよりだいぶ大きい。これはタブレットというらしい。

「ソルにはタブレットがスマホサイズなんだな……」

「いや、タブレットでもまだ小さい気がする」

 遠い目をしながら操作方法を教わるソルだが、ふと、ここに来た目的を思い出す。

「ところで、魔王侵攻の計画はどごまで進んでるだ? そろそろ森越えも視野にどか言っとっだだべ」

「あ」

 残りの三人が仲良く固まったところに、タイミングがいいのか悪いのか、ミルが入ってきた。

「視察の報告に参りまし……ってあー!! また外界の遊びに現を抜かしていたんですか!? いい加減侵攻しないと勇者来ますよ!?」

「はい……」

 ここに、上司を叱る部下の図ができる。

 ちなみに、ミルはリズムゲームセンスナンバーワンだった。

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