乗っ取らせてみた
「……あぁ…クソが……」
既に息絶えた複数の兵士と馬たち、かなり豪華な装備だった馬車と鎧が無残にも砕け散っている。
「姫様…くっ…」
その中でまだ一人だけ息があるようだがその兵士はもう少しで事切れそうだ。
「なぁにこれぇ……」
課外授業学校の外にある森で一晩過ごす授業で調子にのって森の奥に一人で来た時に、突然遠くから悲鳴が聞こえてきたため「テンプレ乙」と言いながら悲鳴が聞こえた場所に軽やかに向かうとそこは無残な光景が広がっていた。
「まさかの手遅れ…」
(あぁ、あの人の忠誠心、いい!)
カルラが顔を赤らめて両手を頬に食い込ませていていきなり身体の主導権を奪い、虫の息になっている兵士の元に向かう。
「力、いりますか?」
「力、いりますか?」
どこからか声がした、ゆっくりとした甘ったるい少女の声だ、悪魔だろうか、まぁいい、私は既に死ぬしかない、だったら悪魔にでもなんでも縋ってやる。
「あぁ…よ、こ……せ…」
「ふふっ、もう後戻りはできませんよ」
そんな事はどうでもいい、早く姫様を……。
「はっ……?」
いつの間にか眠っていたのかそれに大きく抉れていたハズの腹も綺麗に治っている…、いや早く姫様を救わねば、まだ太陽は全然動いてない、日を跨いでなければそんなに時間はたっていないはずだ。
半壊した馬車や仲間達の装備から使えそうな物をかき集める。
「今はここ放置する事になってしまう、しかし、必ず家族の元に届けてやる」
着けていた鎧は壊れて使い物にならなくなっていたので脱ぎ捨てる。
「あの馬鹿力では防御する意味はないな……」
結局使えそうな物はナイフが5本と壊れていたはずの私の愛剣とあと1回しか使えない魔石式スタンガンだけ。
装備を確認した私は急いで姫様を連れ去った連中が去って行った方向へ走る。
森の木々が早く過ぎて行く、心なしか足が軽い…悪魔のせい、いや悪魔のおかげなのだろうか今までで一番早く森の中を移動できている、この調子ならすぐに追いつけそうだ。
森を抜けて湖に出ると姫様を攫った集団を発見したが、攫った連中はハイオークだ、奴らがこんな頭を使った事をするとは思えない、いや今はそんなことよりも姫様を安全に救出して敵を撃退、または敵から逃走しなければ。
知性が無いとはいえたかがハイオーク5匹に我々の集団が全滅させられたのは今でも謎だが、その事に関しては置いておいてそれよりも姫様だ。
奴らは湖の辺で休憩しており警戒しているようには見えないな、しかし奇襲して1匹を始末したところでどうにかなるとは思えんし……。
棍棒一振りで馬車を半壊させる力を持ちなぜか連携もするとなると私1人では…無理なのか。
(出来るよ)
突然の頭の中でさきほど聞こえた少女とは別の少女の声が聞こえた。
「誰だ?!」
ユウキに吸収されたフィアとカルラはその気になれば体を乗っ取る事が簡単にできますが面倒くさいのと一応恩人なのもあり乗っ取る事はしていないだけです。
今回の兵士の姫様への忠誠心が気に入ったので表に出てきて話しかけた感じです。




