模擬戦
レティが退出してからあらためてユウキとマキナが向かい合う。
「多対1を想定して敵は人型5体でAランクほど、波状攻撃型で1体づつ追加で10分くらい敵役やって」
「え~」
「露骨に嫌ですアピールしない、じゃあ晩御飯にケーキ追加してあげるから」
「もう一声!」
「えーと…何してほしいの?」
「ん~なんだろ……」
「いや真剣に考えすぎでしょ」
「よし、今晩寝るとき抱き枕になって」
「はいはい抱き枕になるから模擬戦ちゃんとやってよ」
「やったー!」
「勢いつけてAランク以上にしちゃだめだからね?」
「はーい」
ミルシアはこのやりとりをどこか羨ましそうにみていた。
「あ、ごめんね…さっさと始めようか」
ユウキとマキナはおよそ10メートルほど距離をとると向こうでぶつぶつと何やら詠唱していた。
「準備できたよー」
「こっちも大丈夫、ちゃんとみててね」
「ええもちろんですわ」
ユウキは15センチほどのゴーレムのパーツを4つ取り出し、放つとその4つが合体し40センチほどの人の形になる、一方のマキナもポケットから絵の具をとりだして水で出来た人型に色をつけていく、少女はキラキラした目でその様子をみていた。
「さぁ、始めようか」
ゴーレムと人型が戦闘が……。
「おい、2人とも仕事だ」
突然現れたレティによって始まらなかった。
「はぁ…10分待ってくれませんか?」
「まぁ10分なら」
「じゃあ改めて、マキナ」
「う、うん」
5体の人型が一斉にゴーレムへ攻撃を仕掛ける、ゴーレムは背中についているパーツの方に手を伸ばし、2つある棒状の物を掴み抜く、その棒状の物を剣を構えるように持つと、棒状の物からピンク色の魔力で出来た刃が出現し、それを剣のように一番端の人型に斬りかかる。
斬りつけられた人型はまるでバターを切るよう簡単に両断され崩れ落ちていった、それを見たマキナは少し驚き人型に距離を取らせる。
ゴーレムは距離が一番近い敵に振り向きこめかみの辺りから米粒ほどの魔力弾を3秒ほど撃ち続け1体を蜂の巣状態にして数を減らす。
今度のは三体が縦一列になって攻撃をしかける、ゴーレムは姿勢を整えゴーレムの方へまっすぐ突っ込んでいく。
人型は少し速度を落としタイミングを計りながら接近していく、一方ゴーレムは速度を落とすどころかさらに速度を上げて接近してくる、人型がタイミングを見て振りかぶるがゴーレムはいきなり減速し一体目の頭上を超えて2体目に切りかかるが魔力で出来た剣は消えていた。
ユウキは慌てて下半身のパーツをおとりにゴーレムに距離をとらせる。
ユウキはすぐにポケットから小さな戦闘機みたいな物をとりだしゴーレムのもとへ投げる。
戦闘機みたいな物は投げられた直後に動き出し変形しながらゴーレムへ飛んでいく、ゴーレムは飛んでくる戦闘機のような物に合わせ飛び出す。
戦闘機みたいな物が前後で分離し、ゴーレムの背中と下半身に合体する、そのまますぐに反転し背中から伸びる二門の銃口から魔力が放たれる、それは先のユウキが一撃勝負でレティに放ったレーザーのようなブレスみたいな攻撃だ。
その威力はやはり大きくのこり3体の人型を一瞬にして貫き撃ち終わった時には3体の人型には大穴が空いていた。
背中のパーツの一部が開閉し蒸気が放出され、外される。
ユウキが更に戦闘機のような物を取り出して投擲する、パーツ自体に推進装置があるのか今までのとは段違いに速い、その戦闘機が折りたたむように変形しゴーレムに装着される、前回よりもシンプルな見た目になったものの今までよりも高速で動けるようだ、新たに人型が1体出現するが素早さに翻弄されて倒されてしまった。
「時間無いみたいだしとりあえず残りがあったら一気に出して」
「はーい」
今度はゴーレムを囲むように7体の人型が出現する。
ゴーレムは背中のパーツの部分を一部変形させて連結させると大きな剣になり長さはゴーレムの1、5倍ほどになる。
連結させた剣を回転させながら切りつけるとあっという間に人型を全滅させた。
「終わったな、よし、早速仕事の話だが…」
雰囲気をぶち壊す言葉で模擬戦は終了した。
ゴーレムを動かしている時に無防備になるので単独行動の時には使いません。




