キメラの体内
「ここは……どこだ?」
「つい先ほどキメラに食われたのは覚えてる…でもここをキメラの中と言っていいのか?」
ユウキの視界に映っている光景はどこまでも続く真っ白な空間に様々な魔物が殺し合いをしている。
「外もだけどこっちもSAN値直葬物か…」
距離をとって見ているつもりだったがいきなり狼のような魔物がユウキに飛びかかって来た。
「てゐ」
左手を龍化させて振り払うと魔物は横に吹っ飛び、地面に衝突した後灰になって消滅した。
「生き残ったらアレの主導権でもとれるかな?」
試しに炎を出して魔物の方へ放ってみる、放たれた炎は爆破して大量の魔物を巻き込む、煙が止むまえに残りの魔物を片付けに向かう。
「ストレスの発散にはピッタリだな」
呑気に魔物を倒していると。
「ユウキ!」
またユウキを呼ぶ声がしたので振り返るといきなり誰かに抱きつかれた。
「お母様、お久しぶりです」
キメラの姿ではないユウキの母親がいた涙を流しながらユウキに抱きついている。
「ごめんね、ごめんね…」
とりあえず引き剥がすのを止めて質問する。
「お母様、私に会うまでに何があったのですか?」
「それはね…」
どうやらユウキが飛ばされた後、内乱が起こりユウキのいた国の政権が変わり、反乱者に完全に乗っ取られたらしい、さらに貴族など見せしめで公開処刑されるか奴隷以下の身分にされて、ユウキの母はいくつかの奴隷商人を経由した後に買われた人物に人と魔物を合成する実験の被験者にされたらしく、実験は失敗して暴走し色々な生き物取り込みながら施設を破壊し逃亡したが、行くところも帰る場所も無いため娘であるユウキが生きていると信じて大陸を彷徨っていたらしい。
「そんなことが…」
自分を探すために大陸中を彷徨ってああなってしまったと思うといろいろな所に迷惑をかけていたと思うと申し訳ない気持ちが出てくる。
「でももう大丈夫よ」
「なんで?」
「さっき大量の魔物を倒したでしょ?、ユウキがこんなに強いなんてお母さんびっくりしちゃった」
「えぇ、まぁ……おかげさまで」
「あれは主導権を奪いあっていたのよ、精神を殺し合って体を手に入れるためにね、それにユウキは生き残ったのよ、だからしばらくはあなたが体を自由に動かせるわ」
「お母様は…」
「私はもういいのよ、最後にユウキに会えたのだから」
ユウキに会って満足したのか再び強く抱きしめたまま母親は消えていった。
「執念ってすげーな」
ユウキ自体にはフェイシアの時代あまり良い思い出が無かったので簡単な感想しか出てこなかった。
「……いつまでこの空間なんだ」
母親が消えて争っていた魔物達もいなくなってもまだユウキはこの何もなくなった空間に取り残されていた。
「…暇だなぁ」
ユウキ目掛けて一直線に向かった訳ではないのでいろいろな所に迷惑をかけていますね。
キメラの見た目はとりあえず「クトゥルフ グロ」とかで画像検索して出てくるものをイメージして頂ければと思います。
検索して気分が悪くなったとかしても責任はとりませんよ。




