最高の物を
ダンジョン協会に釘を刺した後、そういえばキャンピングカーはどれくらい進んでいるか気になったので店の方に顔を出しに行く。
「おや、まだ完全には仕上がってませんが、良いタイミングで来られましたな」
「そうなんですか? こちらとしては時間ができたのでちょっと寄ってみた感じなのですが……」
「そうなのですね、ですが、今の休憩が終わったらエンジンを取り付ける所でした、良かったら見学していきますかな」
「ええ、是非ともお願いします、自分達が扱う物ですからね、しっかりと見届けないと」
「そりゃ良い心がけだ、それじゃあ早速エンジンの取り付け作業をしましょうかね」
そういって店員は意気揚々と作業場に戻り、車体に手を加えていく。
「あの、エンジンは既にあるのでは?」
「いやいや、コイツにはこっちのエンジンを取り付けるのさ、コイツならどんな山道やぬかるみにも対応できるでしょう」
店員は車体からあっという間にエンジンを取り外し、搭載予定のエンジンの横に並べる。
「よく聞いてて下さいよぉ」
そういって2つのエンジンをそれぞれ起動させる。
「どうです、余裕の音です、馬力が違います、キャンピングカーといえばアメリカの物を想起するでしょう、しかしココは日本、道路事情が違います、故にどちらが優れているかなんて考えはもはや時代遅れでしょう、アメリカにはアメリカの、日本には日本に合ったキャンピングカーが必要だと、私は考えております。さてコイツのエンジンベースはキャンピングカーの本場であるアメリカ系だが、コッチは信頼と実績の日本産、しかもキャンピングカー用にカスタマイズもしてある、旅はお好きでしょう? 結構、コイツは驚きの低燃費に静音性まである、ますますキャンピングカーでの旅が好きになるでしょうな」
「そうですね、結構気に入っちゃいました」
「おお! この素晴らしさがわかって頂けるとは、私はとても嬉しく思います」
「あ、ありがとうございます……」
店員の高いテンションに終始ついて行けなかったユウキだった。
エンジンの取り付け作業はあっという間に終わり、キャンピングカーの中も見せてもらえるようだ。
「どうです天井もたっぷりありますからね、これなら普通に立っての移動が可能でしょう、シートは合成繊維を編み込んだ頑丈な物を使ってます、ビニールなんて安っぽい物を使ってませんからね、コイツならご家庭の包丁程度なら傷1つつきやしませんよ、これもお客さんが青天井に予算を組んでくれたおかげですな」
「そりゃどうも?」
こうしてユウキ達のキャンピングカーはどんどんと魔改造されていくのであった。
日本のキャンピングカーって効率的でいいですよね




