ダンジョンは娯楽
:ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
:いやあああああああああああああああ
:誰か早く来てくれえええええええええええええ
:救助遅いよ何やってんのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
:逃げてええええええええええええ
:生きててくれ!!!!!!!
コメント欄が阿鼻叫喚で支離滅裂の文字列が出力され続けている。
やってしまった、まんまと罠にかかっちゃった……、配信の山場が過ぎた事で油断してしまったせいで、いつの間にか転移の罠にハマってしまい3階層から、端末で確認したら83階層まで一気に飛ばされてしまった。
83階層なんて、低階層で配信業をしている私からすれば、こんな深い階層には絶対に太刀打ちできる訳がない。
一応こうなった時の為に救助を呼ぶ事ができるが……、こんな深い階層に来られる人間なんて世界でも数えられる程しかおらず、その全員が何かしらの有名人で確実に予定が入っているハズなので直ちに救助に行ける訳が無い。
今は何とか物陰に隠れる事ができたのでコメントを確認する事ができている、今までと比較にならないほどの閲覧数とコメント数になっていて、命の危機にありながらも、この状況が配信者としておいしい状況になっている気持ちで複雑だ。
とはいえこの場所から一歩でも出てしまえば一瞬で全て終わってしまうだろう。
幸いにも物陰は小柄な私を隠すには十分な大きさがあるので、膝をたたんで丸くなればギリギリ横になれる、問題は食料で、一応2日分の非常食があるにはあるが、小食気味の私が節約しながらだったとしても絶対に救助が来るまで持つわけがない、一応配信関係はダンジョン内の魔力で賄えるのでそこだけはもってくれる。
コメント欄がある程度落ち着いてきたので小声だったり文字入力をしたりして見てくれている人達と雑談して寂しさと恐怖を紛らわせる、予備のカメラを物陰の外に向ける事でモンスターを警戒できている、そのおかげで何とかモンスターに見つかる事なく配信ができている。
しばらく雑談を続けていると大きな爆発音と雷属性の攻撃音が響いてきた。このダンジョンで出てくるモンスターの情報には雷属性はなかったはずだ。当然救援を受けた人間がこんな短時間で来れるわけもないので、いわゆるユニークモンスターと呼ばれる出現方法が一切不明のモンスターが出現したのだろう、そんな存在と遭遇してしまえば対応できるかどうかではなく、何秒生き残れるかの次元だ、その音が徐々にこちらに近づいて来ている。
コメント欄もソレがわかっているようで再び阿鼻叫喚で追いきれなくなってしまった、私も恐怖で声も出せなくなってしまい、とうとう覚悟を決めるしかないようだ。
「もーどこにいるだよー本当にこの階で間違いないんだよね? 83階、だよねぇあーもー本当にどこぉー?」
まるで繁華街の中で迷ったような軽い口調で女性の声が聞こえてきた、あまりにも自分とその女性との危機感の違いに反応ができなかった。
「え、あーコレかなぁ、おーい助けに来たよー」
外のカメラを確認してみると、そこには深い深い谷間があった、恐らくカメラの後ろに私がいると思ってのぞき込んでいるのだろう、見上げてみるとこちらを見てくる視線と目が会った。
「貴女が救助を呼んだ人?」
「………あ、はい!」
「そっか、私は貴女を救助しに来ました」
「あ、ありがとう、ございます……」
予想よりもかなり早い時間に救助が来たので、恐らく元々近くにいたのだろう、こんな深い階層にいたという事はさぞ有名な人なのだろう、あわよくば今後何か配信者として近づく事ができないかと下心を若干持ちつつ、物陰から出て救助してくれた人を見た。
「え、おねぇちゃん?!」
「はぁ?」
久々にユウキ以外の視点で書いてみました、次からいつものに戻ります




