謎の待遇
カルラと話ているとどうやら目的地に到着したようだ、同乗者も降車して周囲を警戒していた。
「こちらになります」
そびえ立つビルの目の前で絶対に間違えないようにわざわざ人で道を作って案内してくれる、なんだか王族になったみたいだ、もっともこの世界の人達からすればいつ起爆するか分からない爆弾を丁寧に扱ってような感じだ。
「どーも」
慣れない扱いを紛らわせるために周囲を眺めてみる、ユウキの前世で見ていた都会の街並みと同じように見える、もっとも大きく表示されている広告には一切の見覚えがないのだが……。
とにかく案内されるままビルの中に入っていき、それなりに高い階層に向かう、途中で見えたフロアの案内表にはダンジョン関連の物で埋まっていた、ユウキからすれば現実ファンタジー的な世界なのかなぁ程度に考えていた、ユウキは前世である程度異世界物を読んでいたのでその辺の知識はあるものの、転生した時期的にダンジョン物がそこまで多くなかったのでよく分かっていなかった。
「ようこそダンジョン協会へ、歓迎するよ」
「どうも」
殺風景な会議室のような部屋に案内された、その中にはやたらガタイの良い男性とその秘書と思われる女性が2人がユウキを警戒しながら待機していた。
「長々と社交辞令を述べるよりも単刀直入に行った方が良いかな?」
「そうですね、そんな面倒な事は嫌いです、ですがまずは聞いておきたい事があるのですよ」
「聞いておきたい事、ですか?」
「はい、実は私はこの世界に来た理由はよくわかっていないのです、なので私の事はどのように聞いているのか、それだけは先に聞いておきたいのです」
「……わかりました、と言っても我々も実はよくわかっていないのです」
「よくわかって無いにも関わらずこういった待遇なんですか?」
「それはごもっともなのですが、天使族と悪魔族の方々が口をそろえて【異世界から来訪が来る故に丁重にも扱うように】とありまして……、天使族の悪魔族の方々が同じ事を言うのは前代未聞でして……、こちら側としても対応に困っておりまして……ひとまずは海外の要人と同じような扱いということに落ち着いた訳でして……」
「あー…、なんかスイマセン」
なんだか言葉足らずでややこしい事態になっている事がお互いに分かったようなので、お互いに少し安心した。
「……ひとまずこの世界のダンジョンに挑戦するという事でいいのかな?」
「そう、なりますね」
「では、超法規的措置にて君がダンジョンに挑戦できるように手配しよう、後はこちらに滞在している間はこちらで用意したホテルにて滞在して頂きたいのですが、問題は無いでしょうか?」
「それで大丈夫です、なんだかいろいろとありがとうございます」
予期せずして高待遇になる事ってありますよね




