元の世界へ
「そりゃあ、いるよね……」
(ユウキ、会いたかった……)
こっちの世界でもユウキの母親は出て来た、こっちだと特に違いは無いみたいだ。
「あーちょい待ち、私は別のユウキね、貴女が産んだユウキは後方で待機してるから後で合わせるから」
(ちゃんとわかっているわ、そうなのねぇちゃんと合わせてくれるのね、でもやっぱり世界が違っても私の可愛い娘だもの、こうして会いたいじゃない)
そもそも外に目がついてるのだからユウキが2人いるのは既にご存知だった、ユウキをしっかりと抱きしめた後に言葉を続ける。
(じゃあもうちょっと頑張るから向こうで待ってるユウキに会わせてね)
「任せれ」
ユウキにキメラの主導権を譲り受けたのでキメラの余分な部分と表面を燃やして処理しておく、が元々の質量が多いせいで完全に処理できていない。
「本当にどうにかできるんだな……」
キメラに取り込まれたと思ったらいきなり燃え出して中から全裸のユウキが出て来た事に驚いていたが、キメラが何かに擬態等をした事がないので本当に倒したのだろうと接近する。
「おめーもキメラになるんだよぉお!!!」
「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ?!?!?!?!」
油断して近づいてきたので処理しきれなかった分はこの世界のユウキに押し付ける事にした。
「…………■■………a…………ア………ア……………」
この世界のユウキの母親とかもちゃんと渡したので恐らく会話でもしているのだろう白目になって涙を浮かべて動かなくなっている。
それからしばらく動かなくなっているので残された方のユウキは暇つぶしして待つ事にした。
5分後、
(この世界ってユウキがキメラにならなかった世界みたいですねぇ)
(だねぇ、人間辞めなかったらこんな世界になるんですねー)
(キメラというかお母さん強くね?)
(母は強しってやつですねぇ)
(それで……、すましておきましょうか……)
10分後、
(剣術って腕を増やした所でそこまで便利にならんな……)
(多くても左右に2本づつが限界ですね、それ以降だとそれはそれで剣術を開発しないとだな……)
(だったら今の剣術を鍛えた方が良くないか?)
(そうだな……)
15分後、
(こっちのフィアとも話してみたかったなぁ)
(仕方なかろうよ、完全に同化しておるようだしの……)
(やっぱり少し寂しい感じ?)
(まあな)
20分後、
(そもそもこの世界でレーダー的なヤツってさぁ、逆探知しやすすぎて対人で使われないよねぇ……)
(ゴーレム戦ってそもそも大規模な戦闘が無い限り使われないからねぇ、戦力を誇示する以外に今の所使い道ないのがなぁ……)
(でもゴーレムが活躍するような世界は嫌でしょう?)
(それはそう)
25分後、
(ですからぁ!全部のテーマにインフラ効果持ちは必要なんですよ!)
(でもそんな事するとテーマとしての個性が無くない?)
(時代が進んでそうも言ってられないのよ!)
30分後、
(やっぱりこのドレスってユウキの為に作られたんじゃないの?)
(いやいや、黒くする前の状態知ってるじゃん)
(でもですよ、黒くする前って未完成な感じじゃないですかぁ)
(まぁねぇ、てか装飾とか増えてない、これ?)
「………ア、ア……あぁ」
「あ、戻ってきた?」
白目から戻ってくると髪と目が少し青みがかった色になり耳が少し尖っていた、どうやらいろいろ混ざっていったようだ。
「あぁ、いろいろ言いたいがそろそろ魔法で帰還するだろうから一言で【ありがとう】」
そのたった一言が何重にも重なって聞こえた。
「おうよ……帰って来たか」
返事をすると目の前にユウキがよく知っているレティ達がいた、恰好的にも世界を移動した直後に戻ってきたようだ。
「ずいぶん早い帰りだな」
「時空系はその点が便利」
「お、おう」
もうちょっと話を短く済ませるつもりが長くなってしまいました。




