ちょっとした寄り道
翌日になり、王印がつけられた手紙が届いた。
内容は単純でパーティのお誘いだった、王様が開くパーティといっても規模は小さいほうで明日にすぐ集まれる親戚だけ集まって行うらしい。
その中にユウキ達も護衛という形で城に入るのを許可された特別な許可書も同封されていた。
「…………」
「うん、まー、うん」
レティは手紙を見てユウキを何とも言えない目で眺めていた。
「何はともあれ、みんな一回ドレス来て様子を確認しておくか」
「それもそうですね」
レティはギルド長としての礼服があり、マキナは普段からドレスを買って友人と集まる時に着慣れているので問題ないが、テレジアとユウキは滅多に着ないので一旦ドレスを着てみる事にした。
「……ふッ、なんか、普段のお前を知っていたら笑ってしまうな」
「そんな、どうして私におかしな事があるのですか?」
レティの前に記憶にあるお姫様ムーブをするとレティとテレジアが大きく噴き出した。
「………お前ってそんな事もできたんだな」
我慢できなかったのかレティは大笑いし始めた。
レティの笑いが落ち着いた頃にユウキの真後ろからガラスが割れるような音が聞こえてきた。
「「え?!」」
ユウキが急いで振り返ると割れた空間から少し成長したユウキがこちらを見ており、2人向かい合って目を見開いて驚いていた。
「ユウキ……、フェイシアか?」
「……いやアーノイドっす、一応」
「……あー、ちょっとツラ貸してくれんか?」
「お、おう……」
「助かるわ」
割れた空間から出て来たユウキから手を引かれてその先に引き込まれた。
「あ、ちょっとまって……、ちょっと行ってくるー、多分すぐ帰れるからぁ」
振り返って成長したユウキの方を向くと少し泣きそうな顔をしていた。
「こっちだと生きてるんだな……」
「ココっていわゆるパラレルワールド的な感じでいいの?」
「そうなるな」
ドレスを着たまま世界を移動したようで、いつの間にか外になっており、なんだか空気も粘っこい感じだ。
「それで何でつれて来られてたんですか?」
「あぁ、他の世界のユウキが開発した魔法なんだが……、自分がピンチになった時にその事態を解決してくれる他世界の自分を召喚する魔法を使ったんだよ」
「え、何その超便利な魔法」
この世界のユウキを良くみると顔からはかなりの苦労が伺える、苦労が増えると老け込むと言われているのでもしかすると歳はあまり変わらないかもしれない。
「までも本当に危機にならないと発動できないから始めて発動できたけどな」
普段しない服装をしていたら自分でも驚く事ありますよね




