身バレ
「さて、朝ご飯作らないと……あ、何も食材買ってない、そういえば…」
更に昨日の夜は結局食べ損ねてしまったため強烈に空腹を感じてしまう、そういえば昨日渡されたプリントの束を見る。
後ろの方に食堂の場所と営業時間が記載されていた、お金なら５年稼いできただけありかなりの貯えがあるので心配はいらない。
「あった、マキナ行くよ」
マキナの顔に水をかけて目を覚まさせる。
「ふにゃっ…………あ、お母さんおはよーご飯なに～？」
「無いから食べに行くよ」
「朝から外食！」
珍しく外食に行くということで一気に目が覚める。
「昨日買い物に行ってないから今日だけ学校の食堂にいくよ」
「はーい」
ユウキ達は４０秒で支度を終えて寮を抜け食堂に向かった。
まだ太陽が昇り始めたのもあり他の生徒が起きてないのか辺りには一人も見あたらなかった、それを良い事に急ぐためユウキはマキナを掴み翼を広げて食堂に飛んで行った。
「本気で行けばもっと短縮できるな…」
冊子に書かれていた時間の3分の1の時間に到着した。
食堂はすでに開いて少し緊張しながら扉を開ける。
「お！、早いね～見たところ新入生だな、いらっしゃいィ！！」
３０～４０才位の男性が暑苦しく挨拶する。
「あ、おはようございます」
扉の前で男性に挨拶する、マキナの声がなかったので横を見ると引いていた。
「ま、そう畏まらずに空いてる席に座ったらどうかな？」
「あ、はい」
男性のハイテンションにユウキも若干引きながら一番近い席につく、丸型のテーブルの真ん中にメニュー表が置いてあったのでそれを手に取り何にするか決めるが……。
「あのー…この(熱血漢の1号)ってなんですか？」
メニュー表には熱血漢の1号から３０号までしかない。
「それは出来てからのお楽しみだ」
白い歯を見せつけるように笑う。
「……じゃ、じゃ1号２つお願いします」
「一号入りましたァ！」
厨房から暑苦しく複数の男性の気合いの入った声がする。
「オイッース！」
あまりにうるさくて耳をふさぐ。
「うにゃ！」
どうやらマキナも耳を思わずふさいだようだ。
「おはよーおっちゃん、３号」
「おいよ…３号だぁぁぁああ！」
「オォース！」
朝のまだ早い時間なのにこの空間だけ暑苦しいことこの上ない。
「はい、お待ち！１号２つ！」
運ばれてきたのは黄色い透明なスープとパンとオムレツとサラダだ。
「良かった普通だ」
ユウキが安堵している横でマキナはすでにパンを食べていた。
「おいしー」
マキナの感想でユウキはためらいなくパンを食べようたした時。
「ねぇ、あなたって黒い天使よね？」
「はぁ？」
さきほど３号を注文していた少女から話しかけられる、プリントの束によると学年によって胸の所につける校章の色が違うらしい、ユウキとは校章の枠の色が違うのでおそらく先輩だ。
「あ、私たちはね、試験の手伝いしていたのそこで貴女を見つけてね、今年はSランクが来るって噂でもちきりだったんだから、それで絶対に好成績だろうと期待してたけ、うまいこと交わして0点にしたよね、被弾数がすごく多いのに無傷、しかも筆記テストの回答には正解に何かを加えたものになってる、しかも全て、本来なら最高点を取れるのに、あ、え、て、とらなかった」
「あの、確かに私は黒い天使でそれら隠蔽してないから素性は調べたらすぐわかると思うけど、ここで話されるとその、恥ずかしいです」
食堂には既にユウキ達３人以外にも他の生徒がちらほら食事をしている。
「黒い天使？、あの黒い天使か」
「黒い天使だって」
「あんなに小さいのに」
「確かに黒いな」
先輩によってユウキの素性が暴露され視線が集まるが寝起きだったり急いでいたりで直ぐに視線を元に戻していた。
1号から30号までのメニューの内容は特に決めてません。
興味のないジャンルの有名人に対する反応って薄いですよね。
