夜襲
部屋に戻るなりドリーンが眠気を訴えたためにそのままベットに入っていってしまった、ユウキは近くのソファに寝ようとしたが、眠気を我慢して同じベットに寝ようとしたドリーンの根性に負けて同じベットで寝ていた、かなり大きなサイズのベットなので2人で寝ても十分なスぺースがある。
このまま寝ててもいいのだが、まだ日が沈んでからそこまで時間が経っていないのもあってベットを抜け出して情報収集でもしようかと思っていると、誰かが部屋に近づいてくる気配を感じた。
「しっかり食事をしたと聞いていたが、薬だ効いていないのか?」
「子供に使う程度の薬なら効かないよ」
ドリーンがすぐにベットに向かって行ったので違和感があったが、どうやら睡眠薬の類が仕込まれていたようだ。
「そこは両親に似て丈夫なのだな」
「どうも、良いものをもらいましたよ」
「ならばしっかりと耐えてくれるだろうね」
「依頼でしたらギルドを通してくださいね、私って結構割高なもんなんですよ」
「最高ランクの依頼料程度ならば問題ない、もっとも別に実家が恋しくて帰ってきた訳でもないだろう?」
「そりゃあね、捨てられた所に良い感情はないよ」
「それもそうだな、つまり何かに依頼されて来たんだろう」
「まぁそうですね、内容については話せませんが」
「別にそこに関しては興味ない、お前が来てくれたんだそれだけで十分だよ」
「………貴方にとって私の価値はあるのか?」
「あるとも、フェイシア家の血がこれでまた使えるのだから」
「は?」
また使えると聞いてドリーンの方を見る、ドリーンは気持ちよさそうに寝ているので見た目の異常は判断できない。
「ソレはまだ幼い故に使っていないのさ、君の母上では上手く行かなかったのでね、いくつかの検証を繰り返してドリーンに使おうと思っていたが君を使っても問題ないだろう」
「うーん、問題しかないが?」
「ココに来た時点で君に拒否権などないのだよ、先ほどの薬が効かなかったのは予想外だったが大人しくしてもらおうか」
鉄仮面の男がそう言うと先ほど配膳していたメイドたちが入ってきた、見た目は強そうに見えないが自信満々に呼び出してきたので恐らく戦闘等もできるのだろう。
「捉えろ、多少手荒でも構わん」
「じゃあこっちも」
試しに魔法で拘束してみる、すると簡単に身動きが取れない状態になった。
「ふむ、ドリーン」
鉄仮面の男が呟くとドリーンがベットから飛び起きてユウキに組み付く、ユウキとしてはなるべく傷つけたくないので抵抗はしない、そもそも少女に組み付かれた程度ではまだまだ動けるので問題ない。
「やってしまえ」
ドリーンがユウキの首筋に噛みつく、吸血でもされているかと思ったがその逆で何かが注入されている。
「まだ何もしてないんじゃないのか……」
「幼いからな、簡単な処置で済ませているのさ、故にまだ使っていない」
ユウキの母親の事や今のドリーンの状態的にも今回の調査対象は恐らくこの鉄仮面の男だ、ドリーンに注入された液体の効果はわからないので、とりあえず吸収せずに体の中に保管しておく、後は気絶した真似をして様子をうかがう。
「これでも気絶しただけか、あの野蛮は血が半分あるせいかもしれんが……、とりあえず実験室に運んでおけ、ドリーン、もう寝てていいぞ」
ドリーンはまだ無事です。




