部屋割り
「これからよろしくお願いします、新入生のユウキ・アーノイドです」
改めて挨拶はしっかりとしておく。
「あら、礼儀正しいのね、ちょっとまっててね…」
メイスンはカウンター内側の横の戸棚に向かい探し物をしているようだ。
「えーーーーーーーーーー、っとあったあったユウキちゃんの部屋は204よ」
名刺サイズの部屋番号が書かれた厚さ3ミリほどのカードのような物を渡される、どうやらこれがここの鍵のようだ。
「ありがとうございます」
「部屋への行き方はここからまっすぐ行った突き当たりにあるエレベーターで3階にいって右手の5つ目の部屋ですよ」
「はい、ところでコレはどうやって使うんですか?」
「部屋のドアノブの上に読み取り機があるからそれにその鍵を当てるだけで開くわ」
「ありがとうございました」
ユウキはさっそく部屋へ向かった。
部屋についたユウキは間取りや家具を一通り確認してつぶやいた。
「こっちも動力以外はほぼ同じっぽいかなぁ…」
思わずため息がでてしまう、確かに過ごしやすいので良いのだが、せっかく魔法がある異世界に来たのだから魔法に頼りきった生活もしてみたかったのが本音である。
「2LDK…風呂トイレ別…家具は一通りある、商店街ってか買い物できる所がすぐ近く、学校から徒歩5分以内位、鉄道駅から徒歩15分少々、普通に良い物件だな……、寮じゃなければ…」
部屋を見回りながら呟いていると各部屋を開けるとベットが置いてある、数的に2人部屋なのだろう。
「ま、こんな広い部屋に1人なわけないか…2人でも充分広いけどな」
部屋の中を一通り見終わりリビングにあるソファでとくにする事もなくだらだらと時間を浪費する。
「暇だ…」
呟くがその声は虚しく消えていった。
家具や設備などといったものはユウキのいた地球と原理が違うだけでほとんど同じなのだが、なぜかテレビやインターネットといった物がないである、ただ雑誌類は地球のそれ以上あった。
「売店でも行こうかな………」
とりあえず動こうとした時ドアの鍵が開く音がした、どうやらルームメイトが来たようだ。
「お邪魔しま~す」
「………」
間違いない、ユウキは確信した、この声には覚えしかない。
足音が玄関から真っ直ぐリビングにゆっくりと向かってくる。
リビングのドアの前で足音が止まる緊張しているのか一拍置いてゆっくりドアが開く。
「失礼しま~す」
ドアの方からこっちはソファなどがありギリギリ見えない。
「おかえっ!」
言い切るまえにそれはユウキに抱きつく。
「もう…会え…ないと…思っ…てた…」
ユウキは胸の中で泣きついている人物に向かって再び答える。
「そんなことないよおかえり、マキナ」
すぐに泣き止んだもののユウキの腕の中にすっぽりと収まり動かそうにもガッチリと掴まれているため右手以外全く動かせなかった。
このままだと明日は全身が痺れて動けない、そうならないように早速行動を開始する、まずをそっと動かして自由に動かせるようにする、次にマキナをこれまた起こさないように傾ける。
(なんてゆうか…犬を抱いている気分だな)
そのまま持ち上げる、マキナはユウキに寝ながらにも関わらずがっしりくっついているおかげで簡単に運ぶ事ができた。
ベットが置いてある部屋まで行き尻尾だけ出して器用にドアを開け、そのままベットに一緒に入った。
「このまま寝てしまおう」
ユウキ達2人は明らかに問題児なので少し豪華に部屋に押し込められたようです。




