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まずは心を折ります

「それで、この頼りなさそうな人が次の先生ってわけ？」

　案内されて向かうと、こちらに見下したような敵意を向けた少女がいた。

「はい、今回縁がありまして貴女を鍛えるように言われまして」

　ユウキは最初は丁寧な態度を心掛けて対応する。

「あっそ、言っとくけど私より弱い人なんかに教わる事なんてないけど」

「そうなんですね、私も教導という立場はあまり経験がありませんので上手く教えられるか不安でして」

「あっそ」

　そう言い終わると目の前の少女が消えてユウキの後ろから切りかかってきた、当然ユウキは目で追っているので切ってきた刃物を見抜き、尚且つそれが安物の量産品だと確認してから壊しても良いだろうと見極めてその刃物を破壊する。

「なんで？！」

　攻撃を受け止めるか回避されるまで読んでいただろうが、まさか武器が破壊されるとは思っていなかったようで軽く動揺していた。

「そういった動きができるなら特に教えてもらう必要はないのでは？」

「私は強くならないといけないんだよ！」

「ふむ……」

　どうやら訳がありそうだ、ユウキにとってはどうでもいい事だが依頼を受けている手前とりあえずもう少し様子を見てみる事にした。

「では少し貴女の強さを見極めるために続けましょうか、では好きに攻撃してみて下さい、私は一切攻撃しませんから」

「ふざっ！　けんっ！　なぁ！！　クソッ！」

　怒りで少し大振りになるがそれでもしっかりと相手を見て攻撃を続けてくる、素早くフェイントを織り交ぜて死角に回り様々な手段で攻撃を仕掛けてくる、しかしユウキは３６０度視界を持っているため物陰等でなければ死角にならない、そのためすべての攻撃を簡単に回避している。

「なんで当たらないんだよ！」

「私が貴女よりも強いから、それだけです」

「クソが！！！」

　焚き付けられて怒りが頂点に達したのかいつの間にか大きな剣を振り回してした、しかもその大きな剣から違和感を覚えたので大きく距離を取って回避する。

「コレでもかよ！」

　少女が肩で息をしていた、どうやらいつの間にか消えていた大きな剣は消耗が大きいようだ。

「そういえば魔法は使わないのですか？」

「くっ……」

　何か言いたげな表情をしているが、疲労が大きいのか上手く喋れないようだ。　

「では次はこちらからいきましょう」

「え……」

　真っ直ぐに正面から接近してから少女の顎に優しく触れて、魔力で振動を起こして脳を揺らして気絶させる。

「さすがですね……」

　依頼した人もここまで強いとは思っていなかったようだ。

「それで、この子に何を教えて欲しいのですか？」

「この子は実は魔法で強くなっておりまして、本当はその辺の子供と変わらないのです、しかもこの強化の魔法はこの子ではなく私が使用した魔法になりまして」

「その事は知っているのですか？」

「ええ、できればこの子を魔法を使わなくても先ほどのように強くしていただきたいのです」

「それは、流石に時間がかかりすぎますよ」

　普通の子供を並み以上に強くするとなると年単位が必要になるだろう、そうなると流石に引き受けることはできない。

「それは理解している、なので定期的な依頼、いわゆる包括契約という形にしたい」

「それならまぁ」

　とりあえず少女が気絶している間に依頼の内容を詰めていくことにした。

まずは心を折ってからやる気を出させるという方法があるそうですが、対象の人物をよく知らないとできない方法なのでもしやる時は十分に注意しましょう。