貴族からの勧誘
なんとか無事料理を完食し終え、食堂を出てぶらぶらと適当に歩いていると。
「食事はすんだな！、もう一度言う！、俺のメイドになれ！」
後ろから声がした、対応はしたくないが2人ともしぶしぶ後ろをふりむいた。
「またあなたですか……、お断りします！」
声をかけてきたのは小太りの少年で服に無駄な装飾が多い、そのためどこか有名な貴族の子供だろう、しかしユウキ達は庶民の中で生きてきたため貴族云々については詳しくない。
「一度ならず二度までも僕に恥をかかせやがって、許さん！」
少年は手をかまえ炎を出現させる。
「くらえ！、我に従う炎の力は敵を撃つ力に変換される、ファイアボール！」
マキナが前に出て動こうとするがユウキが左手を出し止める、その間にファイアーボールがユウキの胸部に命中し煙をあげる。
「ハッ…ハハハッ、僕に逆らうからこうなるんだ、君も無駄な抵抗はせずにおとなしく僕のしもべになるがいい！」
少年はまさか何も抵抗無く命中するとは思っていなかったのかすこし焦ったように笑う。
「手加減なんてしなくても良いですよ」
ユウキにとってこれくらい大したものではない、とりあえずいままでギルドで手伝ってきて身につけた接客モードで挑発してみる。
「私めはそちらのことを存じておりませんが？」
「ぼくをバカにするなー！」
怒りながらめちゃくちゃに火の球を放ってくるがやはりユウキは動かず攻撃を受け続けるが傷どころか汚れてしらいない。
「まだ本気を出さないのですか？、ではこちらから…」
とりあえず直径30センチほどの火の球を出して掲げる。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ついに少年は泣き出して拳を振り上げこちらへ走ってきた。
少年は初めて自分にはかなわない相手がいることを知ったのだろう、いくら自分の最も得意とするファイアボールを当ても傷はおろか汚れ一つついていない、しかも自分よりも数倍大きなファイアーボールを一瞬で作り上げてしまった、しかも庶民の子にだ、その子はずっと笑顔でこっちをみている、少年にはその笑顔ですら恐怖に思えてしまう。
【そこまでじゃ！】
声ならぬ声が周囲に響く、どうやらユウキや泣き出した少年以外の生徒にも聞こえたらしく全員キョロキョロとあたりを見回していた。
ユウキは後ろに魔力が集中するのを感じとる。ユウキの後ろにでてくるようだ。裏拳でも食らわそうか考え、結局出てくる人物の行動で判断しようと思った。
(誰か来るだろうか、まさか今朝の校長か？)
ユウキの背後に誰かが転移してきた。
「わっ！」
いきなりユウキの肩を掴みそう叫んだ。
「子供か！」
なんとなく突っ込み代わりに裏拳を入れてみるが…。
「フッ」
ものすごいドヤ顔でよけられた、ユウキは内心でスルーすれば良かったと凄く後悔して、関わってしまったからには話さないといけないめんどくささに陥ってしまった。
「入学初日から人の心をへし折るのは止めてもらえんか」
よくみると今朝の校長だった。
「喧嘩を売ったのも攻撃したのもむこうですよ、私は、な、に、も、していません」
「な、何も…」
その言葉を聞いた少年は崩れるようにしゃがみこみ両手を地面につけた。
「はぁ全く…この少年はとりあえず保健室にでもつれていくかの」
言い終わると同時に老人が少年を抱えこみ消えていった。
「消えたね～」
「他人事だね、しっかし子供みたいな身長だったな、あの老人…」
この前アクセス数見てまたら300を超えていたんですよ、皆様本当に閲覧ありがとうございます。
この学校では貴族と平民は平等に扱われる的な規則がなければ主人公は捕まっていたんですよねぇ。
