森訓練2
「君たちなんだか暇そうにしているね」
「あ、隊長どうしましたか?」
「いやぁ、君たちが余裕そうにしてたからね、森の訓練っていつもこんな物かな?」
「いえ、自分達も今回が初めてなので何とも、、知り合いに聞いたかぎりでは難しいと聞きますが……」
「ふむ、このまま拠点で適当に過ごされても困るしなぁ」
見たところ食料になりそうな物はたくさんある、上手くいけばこのまま休日になって余裕で過ごされそうである、それに隊員に料理が上手い人も確かいなかったハズだ。
「そもそも隊長、意見良いでしょうか?」
「いいよ」
「今回の森の訓練はこういった野宿をする事に意味があるのではないかと思います、なのでこのままでも十分かと思います」
「それもあるかもしれない、でもそれならもっと土地勘がない所のほうがいいじゃん、この森って普通に訓練に使ってから土地勘とかあるじゃん、じゃあ意味ないじゃん」
確かにと思って頷いてしまった、それが間違いだったと気付くのは時間がかからなかった。
「じゃあ私が敵として出てくるね、えっと少ししたら定期的に襲撃するからみんな構えていてね」
その時のユウキは笑顔だったという。
隊員達は急いで拠点を撤収して襲撃に備える、ユウキの実力はよくわかっていないがとりあえず強いのは知っているのでいつ来るか分からないユウキに備える事になった。
1人になるのは危険だと判断し全員で固まって警戒する、索敵が得意な人がいるがあえて索敵はさせずに全員の目視で索敵している。
「いた?」
「いや」
言葉は相手に悟られるのでなるべく少なくして意思疎通を済ませる。
どこから来るのか分からないのでずっと固まって警戒し続ける、ひたすらに警戒して備えるだけの状態はたった数秒でも疲労が蓄積されていく。
少ししたら来ると言っていたがいつ頃来るのだろうか……。
「もしかしてこない?」
誰かがそう呟くと全員の緊張が一気に抜ける、確かに言うだけ言ってから何もしない可能性がある、一応更に少しだけ待ってから徐々に警戒を解いていく。
「大丈夫っぽいです?」
「どうだろうか……」
さすがに警戒していて全員疲れ切っているので数人が武装を解除して魚を獲りに行く、疲労は溜まっているものの空腹が強くでているおかげで隊員全員分の魚を獲り切る、川から出ると仲間が火を起こして準備を済ませてくれた。
「生では食べないのか?」
「焼いた方が好きだから焼いてるだけだ、お前は生の方が良いのか?」
「うーん、海で獲れた物ならよく生で食べてたんだが、そういえば川の魚って生で食べた事ないなって思ってさ」
「あー確かに海のは生だったり漬けたりして食うよなぁ、じゃあコレも生でやってみるか」
そういって焼きかけている魚に手を伸ばしたとき、いきなり上から炎が落ちてきた。
「敵か?!」
疲労が溜まっているとはいえまだ森の訓練の初日なのですぐに回避して武器を手に取って周囲の警戒に努める。
「川の魚はその身に小さな虫がいる可能性があるから絶対焼いて食べる事」
基本的に生ものには火を通して食べましょう。




