強引な任命
「捕まりましたのね」
ゴーレムに乗り込んでいていた人達をまとめて縛り上げているとミルシアがやってきた。
「獣人ってよく採用したね」
獣人と呼ばれるような人に獣の特徴が一部ある人種の事で、この国、もとい大陸には元々いない人種なので何よりも珍しさが目立つ、獣人だったというがすぐに広まったようで野次馬がやってきた。
「獣人でしたら周辺の国の物ではないと思って採用しましたのに、まさかスパイだったなんて」
「それってちゃんと身元調べたの?」
「うーん、それに関しては国の運営にかかわってくるのでノーコメントでお願いしますわ」
「で、どうするよこの人達」
「とりあえず拘束は、してますし戻って取り調べ、ですかね」
「このゴーレムはどうする?」
「とりあえずユウキが運びなさい、時間がかかっても倉庫に戻しておきなさい」
「マジですかい」
「ちゃんと報酬は出させますから」
「本当にお願いね」
「はいはい」
そうしている内に国とギルトから人が来たので獣人達を引き渡して今回の依頼は終了した。
その夜の内にフィアの姿になってからゴーレムを運んでおき面倒な事は終わらせておく。
改めてゴーレムの損傷具合を見てみると、全部のゴーレムの足回りは壊れる寸前で、これ以上動かそうものなら崩れてしまいそうだ、一番酷い状態だったのはユウキの機体でこれ以上戦闘を継続していれば負けていたかもしれない。
獣人たちの乗っていたゴーレムはユウキが余り傷つける事をしなかったため足回り以外は特にダメージはない。
「普通に強かったな……」
3体のゴーレムの連携を思い出す、常に1体が死角になるように動いており1人で対応するのはかなりしんどかった、味方であれば頼もしいだろうなぁと思ってしまった。
翌朝、修復している時間がなかったのでとりあえず部品ごとに解体してひと段落した所に目元に大きなクマができたミルシアやってきた。
「ココにいて良かったですわ、ユウキ来てもらえますか」
「どうしたの、もしかして寝てない?」
「ええ、貴族の仕事ですわ、寝ずにいるのはこんなにキツイなんて思いもしませんでしたわ」
「普通に徹夜はキツイって、ちょっと休んでいく?」
「いえ、それは全て終わってからにしますわ、とりあえず取り調べが終わりましたので来て下さいまし」
「あ、はい」
倒れそうなミルシアを心配しながら後をついていく、国の重要そうな施設の重要な場所に通されるので違和感が大きい、12歳くらいの少女が豪華な施設の真ん中を歩き、すれ違う厳つい武装した大人が敬礼して道を譲る、貴族ってすげぇなと思いながら後ろをついていく。
「ここですわ」
何度か人の通りに制限がありそうな所をミルシアの顔パスで抜けた先にようや到着した。
中に入ると3人の獣人達が敬礼して立っていた。
「なんで?」
「この獣人達は今度私の所有する独立部隊の隊長であるユウキ・アーノイドの部下になりましたわ」
「……はぁ?!」
ミルシアはずっとユウキが自分に手下になる機会を窺っていました。




