抗えぬノリ
お約束って大事だよね……。
「ついたぞい」
「ずいぶん歩きましたね…」
老人についていき20分ほど経っただろうか、ようやく保健室と思わしき部屋に到着した。
「というかお前さん、ぜんぜん疲れてない様子だのう…魔力を使った形跡もないし…、どんなカラクリじゃ」
「まぁ体力には自信がありますからね」
「ほう、はぐらかすか、わしがこのネクタイを取ったらどうなるかわかるか?」
老人がゆっくりとネクタイを緩める。
「い、いったいどうなるんですか?」
老人がネクタイを横に垂らす。
「わしの身長と同じ長さになるんじゃ」
何故かコケなければいけない気がしたのでわざとらしく大げさにコケる。
「やっぱりか…まそうゆう事にしておくか、わかっておるじゃろうが入学儀礼は8時からじゃからのう、きぃつけるのじゃぞ」
「はぁ…ありがとうございます」
老人は満足したのか陽気な鼻歌を歌いながら保健室から出て行った。
「さて…」
ぐっすり寝ているマキナを見下ろす
「……うふふふっ、お母さ~ん…」
「熟睡、いや爆睡中か…いくら興奮して起きてたからって一晩中起きてたら、だいたい5時間は起きないな…とりあえず入学儀礼は8時だから7時半には起きるとして今は6時半か、つまり1時間寝てても問題ないな…」
ユウキは元々ギリギリまで布団と一緒にいたい人類なのであるしかしマキナの世話があることや周囲の目があるので規則正しい生活を心がけている、こんな時くらいは寝てもいいだろうとユウキは横のベットで睡眠をとった。
「……あ、保健室か」
目が覚めよくわからない所にいた気がしたがそういえば学校の保健室で寝ていたことを思い出す、ベットから体を起こすとちょうど向かい側にデジタル式の時計があったため時間はすぐに把握できた。
「ぐへへ、お母さん…」
横にいるマキナは未だに爆睡中だ。
「とりあえず起こさないと…」
マキナの頭を両手でゆっくりと持ち上げてから真ん中を通すように少量の電気を流す。
バチン!
「ふにゃ!…あ、お母さんおはよう~」
脳に少量の電流を流して無理やり起こした、仕事の時やどうしても起きなければならない時の最終手段に使っている、この方法は再生力の強い二人にしか使えないので普通の人間には絶対使わない様にしましょう。
「もうすぐ入学儀礼だから行くよ」
「はーい」
いつもなら二度寝に突入するが電流を流せば暫くは目が強制的に冴えているので今回は大丈夫そうだ。
「さて…ん?」
教員用の机にこの学校のパンフレットが無造作に置いてあった、ユウキはこの学校の事をいっさい知らないので手に取ろうとすると。
「お母さん早く行こう!」
「あ、…うん」
マキナが急かすためパンフレットには手を着けず保健室からでて入学儀礼に向かった。
睡眠はしっかりととりましょう。
無理をしても寿命が縮むだけです。
一応似た方法としてヘッドホンなどで大音量の音楽を聴くと目が覚めるのだとか。
自分はそんな機会はないので実践したことはありませんが。
あと実際にやって何か起こっても私は一切の責任を取りませんので。




