フライング
「さて、いきますか…」
「はーい」
朝食も早々に食べ終えて片づけてを済ませると前日に用意していた荷物を持ち、ユウキ達はギルドの前に立っている。
ギルドは24時間運営をしており、飲食可能な施設も併設されているが居酒屋のような所ではないためそういった賑わいはなくいつも静かで落ち着いている、といっても明け方なのでどこも落ち着いている。
ギルドから学校まではおよそ徒歩で一時間ほどで到着するし同じ街の中にあるため以外と近い。
足取りが軽く今にも走り出しそうなマキナを抑えながら学校の前に到着しユウキは思わず言葉をもらす。
「デカいなぁ」
「お母さん、どうしたの?」
「なんかね…学校は予想通りで良かったなぁって、思ってね…」
ユウキはこの異世界に転生してからあまり異世界らしい物を見れていなかった、もちろんフィアという龍の存在や魔法、魔物といった存在はこちらの世界でしか見られない物があるものの、ユウキが寝泊まりしていたギルドの建物は木造ではなく鉄筋コンクリートのような物で作られており道路は一部アスファルトのような物が敷き詰められ綺麗に舗装されている、動力源は魔力だが冷蔵庫やコンロなどがあり戸籍で住民の管理がされており、正確に時を表示する時計まである、原理が違うだけで前世の生活と特に大きな変化は無かった。
しかし今、目の前には前世では見たことのない広い敷地にいくつもあるレンガ造りの城のような建物等が見えてファンタジーの世界にやって来たんだと思える気がする。そしてユウキはこっちの世界に来てからあまり感じたことのなかった転生をしたという実感をしっかりと噛み締めていた。
そして試しに軽く門を押してみた…が返事はなく重くて開く様子もなかった、確実に来るのが早すぎたのだろう。
とりあえず周囲に何かないか見てみるが他に入り口らしき物は一つも無かった。
「やっぱり早く来すぎたんだよ…あれ?」
横を見るとマキナな立ったまま爆睡していた。
「絶対に夜ワクワクしすぎて寝れなかったんだな、これは…」
マキナを少し揺すってみるが反応がない、これはワクワクしすぎて寝られなかったパターンだろう。
「しばらく起きそうにないなこりゃ」
いまだに人気の無い門前でユウキは一人考える。
「マキナと出会ってからだいたい5年か…、なんだか子供っぽくなったよな~」
呟いていると突然後ろから魔力の反応が現れる、恐らく魔法での瞬間移動の類だろうか、魔法による瞬間移動はそこそこ難しい部類に入り、ユウキは使用できない。
「そんな所に寝かさんと、保健室のベットを使うたらええ」
「ありがとうございます、でその保健室はどこにあるんですか?」
振り返ってみる目の前には白髪の老人がいた。
「おぉ、これゃあ失敬失敬、お前さんたち今日から学校に通う感じじゃろ、どれ保健室に案内してやろう、時間になったら戻ってきたらええからのう」
「ありがとうございます」
老人が門を不規則に叩くと、門の一部が開き人1人分が通れるほどの空間が開くユウキはマキナを担ぎ上げ老人の後をついていった。
ギルドの依頼とかを受けている時はファンタジーを感じられるけど街にいるときは日本の住宅街にいるようなイメージ。
あと転移系は安易に使用する気はありません。




