不幸な寄り道
掲示板で話し込んでいるとネカフェの時間が来たので、漫画をもとの場所に戻して清算してからネカフェを出る、さすがにずっと入り浸っているのは精神的にも金銭的にもきついので一旦外に出る。
「それで、情報は皆無だし……」
とりあえず昨日行っていない所を適当に歩き回る、朝の時間帯な事もあってスーツを身に着けた人を多く見かける。
「そもそも誰がって言うのが分からないからなぁ……」
「誰か探しているのかな?」
「転生者を探してるんですよ、であなたはダレ?」
落ち込みついで後ろから声をかけてきた人に乗ってみる。
「それなら知っているぜ」
「本当ですか?」
情報が一切ないのそれが虚無の情報だとしてもすがる必要があるだろう、それにナンパ目的なら〆てしまえばいいので釣られてみる。
「あぁ、そうだよ」
「教えてくれませんか」
「いいよいいよ、じゃあついて来てよ」
「……わかりました」
少し考えるフリをしてついていく、進んでいく方向が徐々に入り組んでいき、何だか道路が汚くなっていっている。
「本当に知っているんですよね?」
「もちろん、表に出にくいんだからこんなところになってるんだよ」
「はぁ……」
疑いながらもついていく、路上で見かける人も自分が珍しいのか視線を向いているので居心地はすごく悪い。
「あとどれくらいで着くんですか?」
「もう少しだよ」
適当の返されてしまい、これはもう騙されたと思っていいだろう。
「ついたぜ、とりあえずココで待ってくれ」
古びたビルに案内されて中の事務所に通された、一応掃除は行き届いているようだが建物自体の古さは隠しきれていない。
「本当にいるのか……」
数分ほど待っているといきなり後ろから薬品を含んだ布を口に当ててきた、おそらく気絶させようとしているのだろうがユウキにはそんなものは効かない。
座りの姿勢で動き辛いが強引に振り回して投げる。
「騙したか」
「なんで効かない?!」
「そういった物に耐性がないと探し物はできないんだよ」
振り向くと合計で3人のガラの悪い人たちが下品視線を向けて戦闘態勢をとっている、しかしこの世界の住人程度なので簡単に倒してカーテンを使って締め上げる。
「弱っわ……」
「お前何者だよ」
「依頼されて人探しの中ですよ、誘ってきたのはそっちですからね」
「とんだハズレじゃねぇか」
「私から見てもハズレですよ」
溜息をついてビルを出る、向こうの世界なら爆破でもしているところだが、この世界でしてしまえばすぐに警察沙汰になってしまうので思うように動けなくなってしまう。
しぶしぶ事務所のドアだけ強引に歪めて開かないようにしておく。
「振り出しかぁ」
わかっていたとしても無駄に時間を過ごした後悔は大きいものである。
ダメだと解っていてもやってしまう事ってありますよね。




