ゴーレム開発記8
「動く事を考慮していなかった……」
「つまりどういう事ですの?」
「このままだと今までと同じ挙動になる、できれば作り直したい」
「ちなみに少し動かしてもらっても?」
出来たばかりのゴーレムを動かしてみる、魔石が内臓されているおかげでスムーズにコントロールができる、ある程度は動かせるのだがとても戦闘には使えそうにはない。
「……十分に動いてませんか?」
「確かにこの程度の稼働範囲では使えませんわね……」
職員は十分そうだがミルシアとユウキの2人は満足していないようだ。
「それでどれくらいかかりそうですの?」
「うーん、見た目と稼働を両立させるから数日はかかる、というよりかけたい」
前世でのプラモデルを作る感覚でいたが、どうもそうはいかないようで、使っている素材が違うのはもちろんなのだが仕組みがそもそも違うのでなかなか思い通りにならない、ただひたすら拘りと趣味を注いで作っていくしかない。
「わかりましたわ、でしたらしばらくココに泊まりなさい、必要な物は揃えてみせますわ、完成までずっといられるように手配しますわ」
「いや明日は普通に授業あるし……」
「……そうでしたわね」
そんな訳でユウキは一旦帰宅する事になった。
「お母さんおかえりー」
「ただいまー」
「今日のごはんはー?」
「あ、買い物わすれてた」
「えぇ、ごはん……」
「外食するか」
「わーい」
この外食で食費を大きく使ってしまったため、ゴーレムの完成までミルシアの所でお世話になることになってしまった。
「ついに完成した、かな……私はエンジニアじゃないんだけどなぁ」
5日かけてようやく完成した、生活費費節約のために引き伸ばしを考えたが、ゴーレムの作成に妥協はしたくない考えからきっちりと仕上げた。
「ついに完成しましたのね!」
ユウキの完成を聞いて退屈していたミルシアが一気に元気になってゴーレムの元に駆け寄る。
「動かしてやんよ」
「お願いしますわ」
ゴーレムに乗り込み手足を軽く動かしてからボクシングスタイルで軽くジャブを放ってから2段回し蹴りを披露してから装甲用の鉄板に向けてゴーレムの手から魔力弾を出す、鉄板は魔力が通っていないせいか跡形もなく消し飛んだ。
「威力ヤベェ……」
試に撃ってみたが思った以上に威力があり、人に向けて撃つべきでは無いと実感した、ミルシアの方を見ると鉄板が合った所を見て轟然としている。
「人には撃たないようにしないとね」
「そう、ですわね……」
ゴーレム完成の喜びは無くなり一気に雰囲気が沈んでしまった。
「……とりあえず魔力弾の威力は控えるとして提出いたしましょう」
「そうだね、威力は落として……、いやリミッターを付けよう」
「リミッターですの?」
「とりあえず、発射時の出力を抑えてゴーレムが長持ちできるっていう体にしておこう」
「そうですわね、稼働時間は重要ですわね、というか魔力弾を使わなければどれくらい持ちますの?」
「そこはなんとも言えないかな、装甲に流している魔力とか機敏な動きとかで変わってくるから……、見た感じ被弾しなかったら5時間くらい動き続けられると思う」
「それだけ動ければ十分ですわね、ではコレを調整した物を披露しますわよ」
「了解です」
ちなみに何もしなければ10時間ほど動きます。




