恩師との邂逅
「それで先生なんでココに?」
「このお店はねぇ、もともと私の夫がやっていたの、だから私が引き継いでやっているのよ」
「えご結婚されたのですかおめでとうございます!」
「まさか今さらになって祝われるとは思わなかったわ、一応ありがとう、ところでいつ頃から記憶が飛んでいるのかしら?」
「えーっとそれは先生と別れてから2年ほどから1ヶ月前ほどくらいですかね」
「そう、私はてっきり龍にでも遭遇して死んだのかと思ったわぁ、という事は忘れてないわよね?」
「ももももももちろん、ですよぉ!」
「そう、それは良かったわ、じゃあレートがかなり変わっているからそこは私に任せてね」
「ハイ、お任せします」
「じゃあレティちゃんに依頼出しておくね」
「ハイ、お任せください!」
「……私もやるべき?」
(本当に申し訳ない……)
出会ってからどちらかと言うとクールな女のイメージが強かったのだが、肉屋のエルフさんに会ってからどうにも下っ端とか後輩とかにしか見えなかった。
依頼に耐える体は1つしかないのでラクネラが受けた依頼はユウキが時間を作らなければいけないのである、しかし依頼で学業を厳かにしているのでいくらある程度の免除があるとはいえ、試験などを受けなければならない。
教師曰く、
「すでに依頼を受けて立派に仕事をしているのは大変評価できることだが、それを理由に勉強を適当にするは他の生徒やまして後輩に示しがつかない、だから試験だけは受けてもらうぞ、できないならもう1度同じ学年で過ごしてもらう、これは校長もレティも了承済みだ」
だそうで異世界に来てまで留年したくないので勉強を優先したいこの頃なのである。
(勉強なら私が教えるから……)
「昔と常識が違うからどうだろ……」
そもそも言語や歴史、魔法の仕様から違うのでラクネラが教えれそうな教科は算数になるのだが、そこに関しては前世の義務教育で取得済みなので問題ない、なので教われる事がなにもないのである。
(いや本当にお願いします)
ここまで腰が低いラクネラさんは正直見たくなかった。
「ちなみに依頼の内容は?」
(素材集めがメインで後は討伐系だな……)
「どれどれ……」
依頼書を確認すると角や皮などを指定しているので入荷関連ではないようで完全に個人的な物なのだろう。
「これさぁ、なんていうか難易度高くない?」
(おそらく以前に私が借りた素材の代用品かもしれない)
「何借りたの?」
(大体は研究に使う素材だな、あとはインテリアに使う物とか)
「つまり借りっぱなしの物を返せと」
(……まぁそうなるな、かなり時間がたっているせいか素材の名称が違いすぎて私にはさっぱりだ)
「どんだけ寝てたんだよ……」
(それは先生に聞いてくれ)
「どいうかどんな関係、そのまま教師と教え子?」
(そうだな、私なんかより優秀な魔導師でおそらく国で一番だったんだ、そんな人の元で魔法を教わっていたのさ、先生から教わった魔法のおかげで生きながらえている訳だしな)
「あの人そんなにすごい人なんだ」
(そりゃあユウキを見るなり私の存在に気付いたしなぁ)
「あー確かに」
(それに1度も勝った事がないから逆らう事ができないんだ)
「まぁ期限は長いし試験の合間で行ってくるよ」
(たぶん、私だけだったら期限が1週間とかになっているだろうな……)
「キッツ、移動だけでも1ヶ月以上かかるじゃん」
(時間を経て変わったかもしれんが先生も元々そんな人だったからな、なるべく早めでお願いします)
「そうだね」
久々に歴史を調べると学校で習った事と違ってる事ってありますよね。




